獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
あけましておめでとうございます。島田です。
2025年がみなさまにとって明るく楽しい年になりますように。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
新年最初のお話は「犬の睡眠」についてです。
犬は寝ていても、ちょっとした物音で起きてしまうことってありますよね。
愛犬が短時間で目を覚ましてしまうと
「本当にちゃんと休めているのかな?」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、犬はなぜ眠りが浅いのか?、犬の睡眠サイクル、理想の睡眠時間、快適な睡眠環境についてお話したいと思います。
犬はなぜ眠りが浅いの?
犬の眠りが浅いのは野生のなごりだと言われています。
人間と暮らすようになってほかの動物に襲われる心配はなくなりましたが、野生で暮らしていたときは、いつほかの動物に襲われるかわからない状態でした。
自分や仲間の身を守るためには、少しの物音にも反応して行動する必要があったのです。
その習性は、人間と暮らすようになった今も消えずに残っており、扉を閉める音や足音など小さな音でも反応して目が覚めてしまうのです。
その犬の様子から、犬は眠りが浅いと言われるようになったと考えられます。
犬も寝不足になる?
犬も人間と同じように、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を繰り返しています。
つまり、犬も深い眠りの時間があるということ。
犬なりの睡眠のリズムが守られていれば、睡眠不足は心配無用なのです。
ただし、適切な環境が整っていなかったり、ストレスがあると睡眠不足になることがあります。
睡眠不足になると以下の様子が見られるようになります。
▶常に疲れているように見える
▶イライラしたり攻撃的な行動をする
▶免疫力が低下する
犬の睡眠のサイクル
上述のように犬もレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。
人間はレム睡眠が約25%、ノンレム睡眠が約75%と言われています。
一方、犬はレム睡眠が80%、ノンレム睡眠が20%。レム睡眠とノンレム睡眠の割合がまったく違います。
また、人間の睡眠サイクルは90分と言われていますが、犬の睡眠サイクルは人間よりも短く、ノンレム睡眠とレム睡眠を約20分で繰り返します。
一度に長時間眠るのではなく、短い睡眠を繰り返す「分散睡眠型」が犬の特徴です。
犬の理想的な睡眠時間
犬の理想的な睡眠時間は年齢によって異なります。
▶子犬:18〜20時間
▶成犬:12〜14時間
▶シニア犬:14〜18時間
これらは目安であり、個体差があります。
犬は、浅い眠りの割合が多いため、体力回復のために睡眠時間が長くなります。
普段の睡眠時間や様子を観察し、適切な休息が取れているか確認することが重要です。
快適な睡眠環境とは?
愛犬が質の良い睡眠を取るためには、環境づくりが重要です。
たとえば、騒がしい環境では犬がリラックスできません。人の出入りが少なく、静かで落ち着ける場所に寝床を用意しましょう。
寝床は、犬用ベッドやマットを用意します。素材は季節に合ったもので、夏は通気性の良いもの、冬は暖かい素材が快適です。
そのほか、新しい環境や他の動物との接触は、犬にとってストレスとなる場合があります。
部屋を分けるなど安心して眠れるようにしてあげてください。
【まとめ】
犬の睡眠は健康と直結しています。
愛犬の健康を維持するためにも、安心して休める環境づくりを心がけ、毎日の睡眠をサポートしましょう。
もし、愛犬に寝不足の兆候が見られたら環境の改善に努め、早めに専門家に相談することをおすすめします。