獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
「うちの子はまだまだ若くて元気いっぱい!」
「いつまでも子どものようで可愛い」
と思っていませんか?
しかし、シニア期になっても若いころと同じような生活では愛犬に負担がかかってしまいます。
愛犬が快適なシニア期を迎えるためにも、年齢による変化に向き合い、できるだけ早いうちから準備をしておくことが大切です。
今回は、今からでも無理なくできる方法をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。
食事の工夫
老犬になると、食欲が落ちるのが一般的です。そこで、老犬に合った食事を選び、食欲を刺激する工夫が必要になります。
■ 老犬の食事の基本
老犬は若い頃よりも代謝が低下し、運動量も減るため、それまでと同じ食事をつづけていると肥満の原因になります。
そのため、低脂肪・低炭水化物・低カロリーが基本です。
一方で、筋肉を維持するためにタンパク質はしっかりと摂取する必要があります。
さらに高齢になると食事をとる量が減って痩せてくる場合もあります。 そのような場合には、少量でも十分なエネルギーが取れる食事を与えるようにしましょう。
■ ご飯を食べてくれないときの対策
老犬がご飯を食べないときは、まずは食べることを優先しましょう。
おすすめは以下の方法です。
- 好物をトッピングする
- フードを温めてみる
- ウェットフードを与えてみる
- ドライフードをふやかしてみる
愛犬の好物や、犬が好むさつまいも、ささみなどをトッピングしてあげると食欲が刺激されて食べることがあります。
また、フードを温めると匂いがたち、香りに釣られて食べ始める場合があります。
硬いドライフードが食べにくいようならウェットフードに変えてみる、ぬるま湯でドライフードをふやかすといった方法も有効です。
■ 十分な水分摂取
高齢になると喉の渇きを感じにくくなることや、慢性腎臓病などのさまざまな機能障害により、脱水しやすくなってくるため、いつでも新鮮な水が十分に飲めるようにしてあげることも大切です。
水が十分飲めているか見てあげるようにしましょう。
散歩は愛犬のペースでのんびりと
老化で筋肉が落ちるほか、関節痛に悩まされることがあります。
そのような場合は、長時間の散歩や坂道、段差のあるコースは辛いかもしれません。老犬におすすめなのは、平坦で時間をかけてゆっくり歩けるコースです。
もし、お気に入りの公園や仲良しのお友達がいる場合は立ち寄れるように工夫してください。
散歩は犬にとって、外の音や匂いを感じて刺激を受けたり、気分転換になったりします。 短時間でも良いので連れ出してあげましょう。
室内の安全対策をする
運動能力や身体能力が衰えるために思わぬ怪我をすることがあります。 愛犬が安心して過ごせるよう対策しましょう。
■ 足が滑らないようにする
フローリングなど滑りやすい床は足腰の負担になります。
マットやカーペットを敷くのもよいのですが、おすすめはタイルカーペットです。 万が一トイレが間に合わず粗相をしてしまったような場合でも、部分的に洗うことができます。
また、すべり止め効果のあるカーペットを利用するのも良いでしょう。
■ 家具の角にガードを貼りつける
老化で視力が低下すると家具などにぶつかってしまうことがあるため対策が必要です。
犬は家具などの位置を記憶しているので、見えていなくても感覚で避けられます。
しかし、家具を追加したり模様替えをしたりすると感覚が狂ってぶつかってしまいます。そうなっても怪我をしないように対策が必要です。
おすすめは家具の角などに貼り付けるコーナーガードで、ベビー用品店などで手に入れられます。 テーブルの脚などはタオル等を巻き付けてもいいでしょう。
まとめ
シニア期を迎えた愛犬が少しでも快適にすごすためには、運動能力や身体能力に合わせた対策が必要になります。
愛犬の老化の状態に合わせて、無理なくできることから始めましょう。