獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
あなたはあと何年ぐらい愛犬と一緒に暮らしたいと思っていますか?
犬を飼っている人なら誰でも、「愛犬には健康で長生きしてほしい」と願っていることでしょう。
現在、犬の平均寿命は約14~15年といわれており、30〜40年前に比べると約2倍にも伸びています。
これはとても嬉しいことですが、犬の長寿命化・高齢化が進むとともに、 認知症や無駄吠え、夜鳴き、徘徊など特有の問題行動が見られるようになることも少なくありません。
今回はそんな問題行動と対処法についてお話します。
老犬の問題行動と対処法
老犬のお悩みでよくあるのが夜鳴きと徘徊。
眠ることができず、精神的に辛い思いをしている飼い主さんも多いと思います。 そんな老犬の夜鳴きと徘徊を軽減するための対策を紹介します。
ただし、老犬の場合はなんらかの病気が原因になっている可能性が否定できません。 対処法を試しても改善しない場合は、動物病院への受診を検討してください。
■ 夜鳴きがひどい
犬が夜鳴きをする原因はさまざまです。原因を探り、取り除いてあげる必要があります。
老犬が夜鳴きをするおもな理由としては、以下のことが考えられます。
▶ 環境の変化による不安や不満
▶ 体の痛み
▶ 昼と夜が逆転
▶ 自分の思うように体を動かせない
(立ち上がれない、歩けないなど)
環境の変化が原因の場合は問題を取り除くことで解決する場合があります。
また、急に夜鳴きをするようになったときは、体に痛みを感じているのかもしれません。続くようでしたら獣医師に相談することをおすすめします。
昼と夜が逆転した犬は、日光を浴びて体内時計をリセットさせましょう。 お散歩に出かけるのもいいですし、寝たきりの場合は窓辺に寝かせるだけでも効果が期待できます。
思うように体が動かせないために鳴いているようであれば、支えて立たせてみる、補助具を使って歩かせてみるなどで、落ち着いてくれる場合もあります。
■ 夜中の徘徊
夜中に家の中を歩き回るのは、認知症による徘徊の可能性があります。
夜鳴き同様に昼夜逆転の状態を整えることである程度は改善ができます。
日光浴をさせる、昼に運動をして疲れさせるなど、夜にぐっすり眠れるようにしましょう。
また、夜に歩き回っても大丈夫なように対策しておくと安心です。
危険なものを片付けておく、隙間に入り込まないように塞いでおく、ぶつかったら危険な場所にクッション材を貼っておくなどしておきましょう。
問題行動の原因は認知症かも
犬も高齢になると認知症を患うケースが増えています。
老犬特有の問題行動である、夜鳴き、徘徊なども認知症が原因となっていることも多いのです。
認知症は初期の段階では目立った変化がないため、発見が遅れることもありますので注意しましょう。
犬の認知症では、主に以下のような症状が見られます。
▶ 意味もなく夜中に吠える(夜鳴き)
▶ 円を描くように歩く(旋回運動)
▶ 目的もなくひたすら歩き回る(徘徊)
▶ 昼と夜が逆転
▶ 異常な食欲
▶ 無気力、無関心、反応しない
▶ 攻撃的になる
このように、認知症の症状は老犬特有の問題行動としてあげられるものもあります。
思い当たる行動が見られる場合は、獣医師に相談しましょう。
【まとめ】
老犬特有の問題行動は、飼い主さんにとって大きな問題になってしまうことも少なくありません。
とくに、マンションやアパートなどの集合住宅の場合、夜鳴きがクレームになってトラブルに発展することもあります。
また、夜鳴きや徘徊のせいで愛犬も辛い思いをしているかもしれません。
少しでも様子がおかしいと感じたら獣医師に相談し、早めに対処してあげましょう。