獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
以前こちら↓の記事で、「犬のストレスは必ずしも悪いものではなく、犬にとって良いストレスと悪いストレスがある」ということについてお話しました。
しかし、良いストレスであっても愛犬があまりにも嫌がってしまうと、ストレスにならないようにと避けてしまっているのではないでしょうか。
日常生活を送るうえで必要なストレスは、避けるよりも慣れさせてあげたほうが、強いストレスを感じにくくなり、お互いにストレスの少ない生活を送ることができます。
今回はそのヒントになるお話をしていきたいと思います。
ストレスに強くなるには?
犬がストレスに強くなるには、なるべく小さいうちから、さまざまなストレスを体験させるのが良いでしょう。
たとえば、家電の音を聴かせる、たくさんの動物や人に会わせる、初めての場所に連れて行くなどです。
子犬は初めてのことに遭遇するたびに緊張や不安を感じていますが、繰り返し経験することで次第に慣れていきます。
最初は強いストレスを感じたとしても、慣れるに連れて受けるストレスが弱まっていくでしょう。
たくさんのストレスに慣らしていくことでストレスに強くなり、結果としてストレスの少ない生活が送れるようになるのです。
ストレスに慣らして快適な暮らしを!
では、ストレスに慣らすためには、どんなことをしたら良いのでしょうか?
基本は、ストレスを経験したらごほうびを与えて「良いことがあった」と覚えさせることです。
一般家庭で暮らす犬は最低限、以下のことに慣らすと良いでしょう。
■ 暮らしの中の大きな音に慣らす
人と暮らしていれば絶対に避けられないのが生活音です。
まずは、日常的に使用する大きな音の家電に慣らすことから始めましょう。
掃除機やドライヤーなどの作動音を繰り返し聞かせることで、音に慣らします。
音を怖がるようなら、離れた場所で電源を入れて、慣れれば少しずつ距離を縮めていくと良いでしょう。
また、電源を入れる前に「大きい音するよ」と言葉をかけるようにすると、大きな音にも動じなくなります。
■ 留守番に慣らす
犬は群れで暮らす動物なので、1匹で過ごすのは苦手な子が多いです。
とはいえ、仕事や買い物など日常生活を送るうえではお留守番をしてもらう機会は少なからずあると思います。
最初は短時間からはじめて、徐々に時間を増やしていきます。
お留守番の際には、危険なものを片付ける、ケージに入れるなどの安全対策も徹底しましょう。
■ 体に触れられることに慣らす
ブラッシングやシャンプーなどのお手入れの際には、愛犬の体に触れる必要があります。
お腹や肉球など、どの部分を触ってもいやがらないように慣らしておきましょう。
また、体に触られることに慣らしておくと、皮膚の異常やしこりなどにも気付きやすくなり、愛犬の健康管理にも役立ちます。
■ ほかの犬や人に慣らす
来客はもちろん、お散歩やドッグラン、動物病院など、ほかの犬や人と触れ合う機会は意外とあるものです。
そんなときにも、落ち着いて、なるべく緊張せずに触れ合えるように慣らしておくことはとても大切です。
散歩中にほかの犬と挨拶をする、来客時になでてもらうなど積極的にほかの犬や人と接する機会をつくるようにすると良いでしょう。
【まとめ】
犬がストレスに強くなるには、日常生活でうけるストレスに対して上手に適応できるようになる必要があります。
そのために、さまざまなストレスに慣らさなければいけません。
必要なストレスは、生活環境によっても異なると思います。
ですから、今回紹介したのはあくまでも一例として、それぞれの環境に合わせて対策をしていただければと思います。