獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
愛犬と長年いっしょに暮らしていると、白髪がふえた、毛量がへってきた、目が白っぽくなってきたなどの見た目の変化に気がつき愛犬の老いを感じることがあるかと思います。
しかし、見た目の変化以外に「急に夜鳴きがひどくなった」「徘徊するようになった」といった今までとちがう行動があった場合は、認知症を疑う必要があるかもしれません。
今回は、犬の認知症の基礎について詳しくお話したいと思います。
犬も認知症になる
犬も人間と同じくアルツハイマー型の認知症になることが知られています。
犬の認知症の原因は、まだまだ分からないことも多いのですが、老化にともなって脳が変化することによって引き起こされる病気だと言われています。
その結果、さまざまな行動の変化が見られるようになり、飼い主さんを困らせてしまうことも少なくありません。
症状には個体差がありますが、いずれにしても徐々に進行して日常生活にも影響が生じるようになります。
犬の認知症の症状は?
もし、高齢の愛犬が以下のような行動を複数するようになったら認知症を疑いましょう。
● 抑揚のない声で昼夜問わずに鳴く
● 目的もなくウロウロと歩き回る
● ぐるぐると円を描くように歩く(旋回運動)
● 昼夜逆転した生活
● 狭い場所に入り込んで動けなくなる
● 何度もご飯を食べたがる
● 呼びかけても反応しない
● できていたことができなくなる(トイレの失敗など)
● 壁の前で立ち止まって動かなくなる
これは一般的な認知症犬の症状です。ただし、認知症の症状には個体差があります。すべての犬に同じ症状が同じようにあらわれるわけではありません。
また、これらの症状は、認知症以外にも脳神経の病気でも見られる場合があります。
単なる老化と決めつけるのは危険です。気になる症状が見られたら念のため動物病院を受診しましょう。
認知症は治療できる?
犬の認知症のおもな治療は、薬物療法、サプリメント、生活習慣の改善となります。
初期段階であれば、薬物療法で改善が見られる場合もあるようですが、残念ながら犬の認知症の特効薬はありません。
夜鳴きや徘徊がひどい場合は、鎮静剤を使用することもあります。ただし、鎮静剤には副作用がありますので、獣医師とよく相談しましょう。
認知症を発症しやすい年齢と注意が必要な犬種
犬の認知症は、10歳ごろから見られるようになり、12歳以上で発症率が上がるとされています。大型犬は8歳、小型犬では10歳ごろから注意が必要です。
認知症は、柴犬や秋田犬などの日本犬や日本犬の雑種に多いとされています。症状も日本犬が強く出る傾向があるようです。
もちろん、洋犬は認知症にならないということではありません。どの犬種でも認知症を発症する可能性はありますから油断は禁物です。
【まとめ】
犬も歳をとると認知症になります。
昼夜が逆転したり、徘徊したり、何度もご飯を食べたがったりなど、まるで人間の認知症のようでもあります。
高齢の愛犬に認知症を疑う症状が見られたら、早めに動物病院を受診し対処法を相談するようにしましょう。
早い段階で適切に対応することで、認知症の症状を緩和できる可能性があります。