獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
犬と過ごしていると「におうな」と感じることはありませんか。
犬の体のニオイは、時間が経つときつく感じるようになるのはなぜなのでしょうか。
ここでは「犬の体臭の原因」について解説します。
犬の体臭の原因とは?
犬の体臭の原因は「皮脂」と「病気」があげられます。
1)皮脂
原因の多くは「皮脂」です。犬は全身に個体特有の「ニオイのもととなる分泌物」を出す「アポクリン腺」があります。アポクリン腺は、人間でいうと脇の下などの特定な部位にしかない腺です。
アポクリン腺は脂腺と直結している腺になるため、分泌物と一緒に皮脂もでます。分泌物が細菌によって分解されたり、皮脂が酸化し細菌が繁殖することで体臭が発生します。
犬の皮膚は、人より薄いためデリケートですが、皮脂が保護膜を形成し、皮膚の潤いを保ってくれます。皮脂は過剰に分泌されるとニオイの原因にもなりますが、分泌のバランスを保つことで皮膚を病気から守ってくれます。
雨に濡れたりすると、防水のために脂腺から油脂が多く分泌されるようになります。それを拭いたり、乾かしたりしないで放置しておくと、酸化してニオイがきつくなります。
2)病気
皮膚疾患だけでなく、口腔内疾患や耳鼻科疾患などが原因で犬の体臭がきついと感じることもあります。ただ皮脂が原因となるものとニオイが少し変わるため、いつもとニオイが違うときは一度動物病院に相談してみることがおすすめです。
(1)皮膚疾患
皮膚疾患であれば、皮膚炎や脂漏性皮膚炎、趾間炎(足の指の間の炎症)などの病気が考えられます。皮膚の炎症はニオイがきつくなることが多く、犬自身痒がることやなめることがあるため、比較的気が付きやすい病気です。
皮膚の病気は命に関わることが少ないものが多いですが、放置してしまうと完治までに時間がかかります。犬が頻繁に体を気にしている場合は体をみてあげましょう。
(2)口腔内疾患
口腔内疾患では歯周病、口腔内腫瘍などの病気が考えられます。歯周病は犬がかかりやすい病気の一つです。
歯周病は歯に歯垢や歯石がつき、歯垢中の細菌が歯周組織を破壊することで、歯茎を後退させてしまい最終的に歯を支持する組織が破壊されて、歯が抜け落ちてしまう病気です。歯の抜けた部分から細菌が入り込み全身性疾患を引き起こす可能性があるため気をつけなければいけません。
口腔内腫瘍も口の中にできるため見つけることが遅れてしまうことが多い病気です。
こまめに犬の口の中をみる習慣をつけることがおすすめです。
(3)耳鼻科疾患
耳鼻科疾患では外耳炎などの病気が考えられます。
外耳炎は細菌や真菌、寄生虫などにより引き起こされます。特に湿気の多い時期などに多くみられる病気なので耳の中もこまめに確認することをおすすめします。
耳掃除に関しては、誤った方法で行うと耳を傷つけてしまうことや耳垢を奥に押し込んでしまう可能性があるため、自宅で行うことが難しい場合は動物病院にお願いすることがおすすめです。
歯周疾患や耳科疾患では、局所の病状が酷くなることでニオイもきつくなることが多く、それが、その犬の体臭ではないのですが、その犬のニオイとして認識されてしまう場合もあります。
腎臓疾患や肝臓疾患でも、独特の口臭、体臭を感じることがあります。
【まとめ】
ここでは「犬の体臭の原因」について解説しました。
犬の体のニオイは犬の健康にも直結するものです。ニオイが強い状態のまま放置してしまうと不衛生な状態になり皮膚病やストレスの原因にもなります。
ニオイの原因を知り対処することで犬の体を健康に保っていきましょう。