【獣医師監修】犬との信頼関係は遊び方で激変!今日からできる絆を深める5つのコツ

愛犬ともっと仲良くなりたい、でもどう遊べばいいか分からない…そんなお悩みを抱えていませんか?
実は“遊び”は、ただ楽しい時間ではなく、愛犬との信頼関係を育む大切なコミュニケーションのひとつ。
遊んでいるとき、犬も人も体の中で“絆ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌され、お互いに安心感や信頼感が高まることがわかっています。

この記事では、獣医師の知見に基づき、愛犬との信頼関係を劇的に深めるための「遊び」の極意を解説します。
最後まで読めば、以下の点がすべてクリアになります。

  • なぜ遊びで犬との信頼関係が深まるのか、その科学的な理由
  • 明日からすぐに実践できる、絆を深める具体的な遊び方4選
  • 遊びの最中の「困った!」(興奮しすぎ、おもちゃを返さない等)を解決する方法
  • 実はやってはいけない、信頼を損なうNGな遊び方
  • 愛犬の年齢や性格に合わせた、最適な遊びの工夫

たった5分間の遊びでも、やり方次第で愛犬との関係はもっと豊かになります。さあ、最高のパートナーになるための第一歩を踏み出しましょう。

 

なぜ「遊び」が犬との信頼関係に重要なのか?

 

犬と遊ぶ時間が、単なる楽しい時間で終わらないのには、科学的な理由があります。その中心にあるのが、「オキシトシン」というホルモンの存在です。

 

“絆ホルモン”オキシトシンの魔法

オキシトシンは、別名「愛情ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、主に母親が出産や授乳をするときに多く分泌されます。このホルモンには、他者への安心感や信頼感を高める働きがあります。

2015年に麻布大学の研究チームが行った有名な研究では、飼い主と犬が見つめ合ったり、優しく撫でたりしながら遊ぶことで、人と犬の双方でオキシトシンの血中濃度が大幅に上昇することが明らかになりました。これは、人間がオオカミをパートナーとして迎え入れた遥か昔から、種を超えて育んできた特別な絆の証と言えるでしょう。

つまり、あなたが愛犬と楽しく遊ぶ時間は、お互いに「大好きだよ」「信頼しているよ」というメッセージをホルモンレベルで伝え合っている、最高のコミュニケーションなのです。

 

【図解】遊びで生まれるオキシトシン・ポジティブループ

 

信頼を育む!獣医師おすすめの遊び方4選

 

ここでは、室内でも手軽に始められ、信頼関係の構築に特に効果的な遊びを4つご紹介します。
愛犬の性格や体調に合わせて選んでみてください。

遊びの種類期待できる効果難易度室内向き度ポイント
持来(レトリーブ)遊び協力する楽しさ、狩猟本能の充足★★☆★★☆犬からおもちゃを無理やり奪わない。「ちょうだい」で交換するルールを徹底。
引っ張りっこ一体感、エネルギー発散、ルール学習★☆☆★★★必ず「おしまい」で終わる練習をする。左右に優しく揺らすのが基本。
知育トイ・ノーズワーク学習思考力UP、自信がつく、ストレス軽減★☆☆★★★最初は簡単なものから。飼い主がヒントをあげてもOK。一緒に解く楽しさを。
かくれんぼ飼い主への集中力UP、名前への反応向上★★☆★★★最初はすぐ見つかる場所から。見つけてくれたら大げさに褒めて喜ぶ!

 

こんな時どうする?遊びの「困った!」を解決

 

理論は分かっていても、実際の遊びの場面では思い通りにいかないことも多いですよね。ここでは、多くの飼い主さんが抱えるお悩みの解決策を具体的に解説します。

 

Q1. 遊びの最中に興奮しすぎて、甘噛みが激しくなります

A. それは「楽しすぎ!」のサイン。叱るのではなく、クールダウンのルールを教えるチャンスです。

特に子犬や若い犬によく見られますが、これはあなたを困らせたいのではなく、感情のコントロール方法が分からないだけです。重要なのは「叱ってやめさせる」のではなく「落ち着き方を教える」ことです。

  • クールダウンの合図を決める:犬の興奮が高まってきたら、ピタッと動きを止め、「おしまい」や「休憩」と落ち着いた声で伝えます。
  • 嗅覚を使わせる:同時におやつを数粒床に静かにばら撒き、犬が匂いを嗅いで探すことに集中させます。嗅覚を使う行動は、犬の興奮を鎮めるのに非常に効果的です。

これを繰り返すことで、犬は「『おしまい』=クールダウンタイム」と学習し、感情のコントロールが上手になります。

 

Q2. おもちゃを絶対に返してくれません

A. 無理やり奪うのは信頼関係を壊す元!「交換」の楽しさを教えましょう。

犬にとっておもちゃは大切な宝物です。「取られる!」と感じると、守ろうとして唸ることもあります。ここで力ずくで奪うと、「飼い主は僕の大切なものを奪う存在だ」とインプットされてしまいます。

  1. 犬がおもちゃを咥えている時に、より魅力的な特別なおやつを鼻先に見せます。
  2. 犬がおもちゃをポロっと離したら、すかさず「ちょうだい、上手!」と褒めておやつをあげます。
  3. すぐにおもちゃを返してあげたり、別のおもちゃで遊びを再開したりします。

この経験を繰り返すことで、犬は「おもちゃを渡すと、もっと良いことが起きる!」と学習し、喜んで渡してくれるようになります。

 

Q3. そもそも遊びに誘ってきません。嫌われているのでしょうか…?

A. 決してそうとは限りません。犬の性格や過去の経験が影響している可能性があります。

特に保護犬や臆病な性格の犬は、遊びの楽しさを知らなかったり、人とどう関われば良いか分からなかったりします。焦りは禁物です。

  • 飼い主が“犬”になる:犬が遊びに誘うときにする「プレイバウ」(お尻を高く上げ、前足を床につけるポーズ)を真似てみましょう。床に同じように伏せて、優しい声で「遊ぼうよ」と誘うと、犬の警戒心が解け、興味を引くことがあります。
  • 興味のサインを見逃さない:飼い主さんが一人で楽しそうにおもちゃを転がしてみましょう。犬が少しでも「それ、何?」と鼻を近づけたり、目で追ったりしたら、それが興味のサイン。そのおもちゃをそっと犬の近くに置き、犬自身がアクションを起こすのを「待つ」姿勢が、臆病な子の信頼を得る第一歩です。

 

【要注意】信頼関係を壊してしまうNGな遊び方

 

良かれと思ってやっている遊びが、実は愛犬との信頼関係を損なっている可能性もあります。以下の点に注意してください。

  • 無理やりおもちゃを奪う:前述の通り、犬は「飼い主は自分のものを奪う敵」と認識してしまいます。
  • 長時間しつこく続ける:犬が疲れて「もうやめたい」というサイン(あくび、体を掻く、顔をそむける等)を出しているのに遊びを強要すると、遊び自体が嫌いになってしまいます。
  • からかうだけの遊び:おやつやおもちゃをあげるフリをしてあげない、隠して見つけさせないなど、犬をからかうだけの行為は、飼い主への不信感を募らせるだけです。
  • マズルを掴む、体罰を与える:遊びの中で興奮したからといって、マズルを強く掴んだり叩いたりするのは絶対にやめましょう。恐怖は信頼関係を根底から破壊します。

 

愛犬のタイプ別|もっと絆が深まる遊びの工夫

 

すべての犬が同じ遊びを好きなわけではありません。愛犬の個性やライフステージに合わせてアレンジすることが、何よりも大切です。

 

子犬(~1歳)

短い時間(5分程度)の遊びを1日に何回も行いましょう。様々な素材や形のおもちゃに触れさせることは、脳に良い刺激を与え、社会化の勉強にもなります。誤飲しない安全なサイズ・素材のおもちゃを選ぶことが最重要です。

 

忙しい飼い主さんと暮らす成犬

体力があり活発な時期です。平日は短い時間の「引っ張りっこ」でルールを確認し合ったり、留守番中に「知育トイ」を与えて頭を使わせたりするのがおすすめです。そして週末は、ドッグランや広い公園で思いっきりボール投げをするなど、静と動のメリハリをつけることで犬の満足度は大きく高まります。

 

シニア犬(8歳~)

関節への負担が少ない「ノーズワーク」は最高の脳トレになります。古いタオルにおやつを隠して探させるだけでも十分楽しめます。激しい運動よりも、ゆったりと一緒に過ごす時間そのものを楽しみましょう。嗅覚や頭を使う遊びは、認知機能の維持にも役立ちます。

 

保護犬・臆病な犬

「犬に選択権を与える」ことが鉄則です。複数のおもちゃを床に置き、犬がどれに興味を示すか観察することから始めましょう。無理に誘わず、犬がリラックスできる静かな環境で、飼い主さんが楽しそうにしている姿を見せるだけでも、少しずつ心の距離は縮まります。焦らず、愛犬の小さな「一歩」をたくさん褒めてあげてください。

 

犬との遊びと信頼関係に関するよくある質問

 

Q1: 遊びの時間は1日にどれくらいが目安ですか?

犬種や年齢、体力によりますが、一般的には「1回10分~15分程度の短い遊びを1日に2~3回」が理想的です。犬が「もっと遊びたい!」と思うくらいで切り上げるのが、遊びへの意欲を持続させるコツです。
特に子犬やシニア犬は疲れやすいため、5分程度の短い時間から始めましょう。

 

Q2: おもちゃに全く興味を示しません。どうしたらいいですか?

まず、おもちゃの素材や形、大きさ、硬さなどを変えて、愛犬の好みを探ってみましょう。ボールがダメでも、ロープや布製のものなら興味を示すかもしれません。また、飼い主さんが心から楽しそうにそのおもちゃで遊ぶ姿を見せることで、「なんだか楽しそうだぞ」と犬の興味を引くことができます。
食べることが好きな子であれば、おやつを入れられる知育トイから試すのがおすすめです。

 

Q3: 多頭飼いの場合、遊び方に工夫は必要ですか?

はい、必要です。犬同士で遊ぶ時間も大切ですが、飼い主と1対1で遊ぶ特別な時間を必ず作ってあげてください。これにより、他の犬との競争心ではなく、飼い主との純粋な信頼関係を築くことができます。
他の犬がいない静かな部屋で、その子だけが好きな遊びに集中できる環境を整えましょう。

 

Q4: 信頼関係が築けているか、確かめるサインはありますか?

はい、いくつかの行動で判断できます。例えば、①名前を呼ぶと喜んで来る、②お腹を見せてくれる、③体(特に顔周り)をどこでも触らせてくれる、④飼い主のそばでリラックスして眠る、⑤問題が起きた時に頼ってくれる(例:おもちゃが取れない時に飼い主の顔を見る)などが挙げられます。
これらは全て、あなたを「安心できるリーダー」として信頼している証拠です。

 

まとめ:大切なのは時間ではなく「愛犬と向き合う気持ち」

 

愛犬との信頼関係を築く遊びに、高価なおもちゃや広い場所、長い時間は必ずしも必要ではありません。

何よりも大切なのは、「あなたのことを見ているよ」という、愛犬と真剣に向き合う気持ちです。

  • 愛犬はどんな表情をしていますか?
  • しっぽはどんな風に揺れていますか?
  • 少し疲れたサインを出していませんか?

スマホを置いて、たった5分、愛犬のことだけを考えて向き合う。その濃密な時間が、何にも代えがたい固い絆を育んでいきます。

さあ、まずはお気に入りのおもちゃを手に取って、「遊ぼうか?」と優しく声をかけることから始めてみませんか? あなたと愛犬だけの、最高のコミュニケーションがそこから始まります。

 

 

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