犬の毛並みを良くする方法【獣医監修】ツヤツヤにする秘訣と食事・ケアのすべて

愛犬の毛並みがツヤツヤで健康的なのは、飼い主さんにとっても嬉しいものです。毛並みは見た目の美しさだけでなく、犬の健康状態を示すバロメーターでもあります。では、どうすれば愛犬の毛並みや毛艶を良くすることができるのでしょうか?

この記事では、「犬の毛並みや毛艶を良くする方法」について、獣医師監修のもと、具体的なケア方法から食事、生活習慣、そして注意すべき病気のサインまで、詳しく解説します。

この記事を読めば、以下の内容が分かります。

  • 犬の毛並みが悪くなる原因と見分け方
  • 自宅でできる効果的な被毛ケア(ブラッシング、シャンプー、保湿)
  • 毛並みを良くするための最適な食事の選び方と与え方
  • ストレスと毛並みの関係、そしてその解消法
  • 毛並みの異常から考えられる病気と動物病院を受診する目安

 

 

目次

犬の毛並みが悪くなるのはなぜ?その原因と見分け方

 

愛犬の毛並みが以前より悪くなったと感じる場合、いくつかの原因が考えられます。原因を知ることで、適切な対策を講じることができます。

 

毛並みや毛艶が悪い状態とは?

健康な犬の被毛は、触るとしっとりとしていて、自然な光沢があります。一方で、毛並みが悪い状態とは、以下のような特徴が見られます。

  • ツヤがなくパサついている、ゴワゴワしている
  • フケが多い
  • 抜け毛が異常に多い、部分的に毛が薄くなっている
  • 毛がべたつく、脂っぽい
  • 体臭が強くなった
  • 皮膚に赤み、かゆみ、湿疹などが見られる

これらのサインが見られたら、何らかの異常がある可能性を疑いましょう。

 

毛並みが悪くなる主な原因

犬の毛並みが悪くなる原因は多岐にわたりますが、主に以下の点が挙げられます。

  • 栄養不足や偏り: 特にタンパク質、必須脂肪酸(オメガ3、オメガ6)、ビタミン、ミネラルなどの不足は、健康な被毛の生成に影響を与えます。
  • 不適切な被毛ケア: ブラッシング不足による毛のもつれや汚れ、過度なシャンプーによる皮膚の乾燥、刺激の強いシャンプーの使用などが原因となります。
  • ストレス: ストレスは、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、被毛の健康にも悪影響を与えることがあります。
  • 皮膚病: アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏症、膿皮症、真菌症、寄生虫(ノミ・ダニ)など、様々な皮膚病が毛並みの悪化や脱毛の原因となります。
  • 内臓疾患: 甲状腺機能低下症やクッシング症候群などのホルモン疾患、肝臓病、腎臓病なども、全身の状態悪化に伴い毛並みに影響を及ぼすことがあります。
  • 加齢: シニア犬になると、新陳代謝が低下し、被毛の生成能力が落ちることがあります。
  • 環境: 乾燥した空気や強い紫外線なども、被毛のダメージにつながります。

 

 

自宅でできる!犬の毛並みを良くするための効果的なケア

 

愛犬の毛並みを健康的に保つためには、日々の適切なケアが非常に重要です。ここでは、具体的な被毛ケアの方法をご紹介します。

 

1. 適切なブラッシングで皮膚と被毛を清潔に保つ

ブラッシングは、被毛の健康を保つための基本中の基本です。単に毛並みを整えるだけでなく、様々な効果があります。

  • 毛玉の防止と除去: 特に長毛種やダブルコートの犬種は、毛玉ができやすく、放置すると皮膚トラブルの原因になります。
  • 抜け毛の除去: 換毛期の抜け毛を効率的に取り除き、皮膚の通気性を良くします。
  • 血行促進とマッサージ効果: ブラシの刺激が皮膚の血行を促進し、健康な被毛の成長を促します。
  • 皮膚や被毛の汚れ、ホコリの除去: 外部からの汚れを取り除き、清潔を保ちます。
  • 皮膚の異常の早期発見: ブラッシング中に皮膚の赤み、腫れ、しこり、寄生虫などに気づくことができます。
  • スキンシップ: 愛犬との絆を深める大切な時間にもなります。

【ブラッシングの頻度とブラシの選び方】

  • 長毛犬(ゴールデンレトリバー、シーズー、マルチーズなど): 毎日、少なくとも2〜3日に1度は行いましょう。スリッカーブラシやピンブラシがおすすめです。
  • 短毛犬(スムースダックスフンド、フレンチブルドッグなど): 2〜3日に1度、または週に1〜2度行いましょう。ラバーブラシや獣毛ブラシが適しています。
  • ダブルコートの犬種(柴犬、ポメラニアンなど): 換毛期には特に念入りに、毎日行いましょう。アンダーコート用のブラシ(レーキなど)を併用すると効果的です。

ポイント:ブラッシングは毛並みに沿って優しく行い、強くこすりすぎないように注意しましょう。特に皮膚に異常がある場合は、獣医師に相談してください。

 

2. 正しいシャンプーで皮膚を健康に保つ

シャンプーは、皮膚と被毛の汚れを落とし、清潔に保つために行います。適切な頻度と方法で行うことが大切です。

  • 頻度: 健康な犬の場合、一般的に3週間〜1ヶ月に1度が目安です。頻繁に行いすぎると、皮膚に必要な皮脂まで洗い流してしまい、皮膚の乾燥やバリア機能の低下を招くことがあります。皮膚の状態によっては、獣医師の指示に従いましょう。
  • シャンプー剤の選び方: 犬の皮膚は人間よりもデリケートです。必ず犬専用の低刺激性のシャンプーを選びましょう。敏感肌の犬や皮膚疾患がある場合は、薬用シャンプーを獣医師から処方してもらうこともあります。
  • 洗い方:
    1. シャンプー前にブラッシングで抜け毛や毛玉を取り除きます。
    2. 35〜38℃くらいのぬるま湯で全身を十分に濡らします。
    3. シャンプーを手のひらで軽く泡立ててから、全身に優しくなじませます。指の腹で皮膚をマッサージするように洗い、爪を立てないように注意しましょう。
    4. すすぎは徹底的に行います。シャンプー成分が残っていると、皮膚トラブルの原因になります。特に、脇の下や股、指の間など、洗い残しがないように丁寧に洗い流しましょう。
    5. シャンプー後には、犬用リンスやコンディショナーを使い、被毛の保湿と保護を行うとさらに良いでしょう。
  • 乾燥: タオルで優しく水気を取り、ドライヤーで根元からしっかりと乾かします。生乾きは皮膚病の原因になるため厳禁です。ドライヤーの熱風を同じ場所に当て続けないように注意し、犬との距離を保ちましょう。

 

3. 保湿ケアで皮膚のバリア機能を高める

特に乾燥しやすい時期や乾燥肌の犬には、シャンプー後の保湿ケアも重要です。犬用の保湿スプレーやローションなどを使用することで、皮膚のバリア機能を高め、フケやかゆみを抑えることができます。

 

内側から輝く毛並みを!栄養満点の食事で健康をサポート

 

美しい毛並みは、外側からのケアだけでなく、内側からの栄養摂取によっても作られます。日々の食事が、被毛の健康に大きく影響します。

 

1. 良質なタンパク質を十分に摂取する

タンパク質は、皮膚や被毛、爪、筋肉など、体のあらゆる組織の主要な構成成分です。タンパク質が不足すると、毛並みがパサついたり、抜け毛が増えたりすることがあります。

  • 供給源: 肉(鶏肉、牛肉、ラム肉など)、魚(サーモン、マグロなど)、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)が良質なタンパク源です。
  • ポイント: ただ与えるだけでなく、「総合栄養食」と表示されているドッグフードは、必要な栄養素がバランスよく含まれているため安心です。手作り食の場合は、栄養バランスに特に注意が必要です。過剰なタンパク質摂取は肝臓や腎臓に負担をかける可能性があるため、適切な量を獣医師と相談して与えましょう。

 

2. 必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)をバランス良く摂取する

必須脂肪酸は、体内で合成できないため食事から摂取する必要がある栄養素で、皮膚や被毛の健康に不可欠です。特にオメガ3脂肪酸オメガ6脂肪酸は、皮膚の炎症を抑えたり、被毛にツヤを与えたりする効果が期待できます。

  • オメガ3脂肪酸の供給源: サーモンオイル、亜麻仁油(フラックスシードオイル)、えごま油などが豊富です。これらはサプリメントとしても市販されています。
  • オメガ6脂肪酸の供給源: ひまわり油、コーン油などに多く含まれます。多くのドッグフードにはバランス良く配合されています。
  • ポイント: オメガ3とオメガ6はバランスが重要です。過剰な摂取はかえって健康を損なう場合もあるため、ドッグフードに記載されている推奨量や、獣医師の指導に従いましょう。

 

3. その他の栄養素もバランス良く

タンパク質や必須脂肪酸以外にも、健康な毛並みには以下の栄養素が重要です。

  • ビタミンB群: 皮膚や被毛の新陳代謝を促進します。
  • ビタミンA・E: 抗酸化作用があり、皮膚の健康維持に役立ちます。
  • 亜鉛: 被毛の成長や皮膚の修復に不可欠なミネラルです。

これらの栄養素は、バランスの取れた総合栄養食を適量与えることで、不足なく摂取できることが多いです。特定の栄養素を補給したい場合は、必ず獣医師に相談してからサプリメントなどを与えるようにしましょう。

 

毛並みとストレスの関係!規則正しい生活で心身ともに健康に

 

毛並みの美しさは、体の内側からの健康だけでなく、精神的な健康状態にも大きく左右されます。ストレスは、犬の被毛にも悪影響を及ぼすことがあります。

 

ストレスが毛並みに与える影響

ストレスを受けると、犬の体内では様々な変化が起こります。ホルモンバランスの乱れや免疫力の低下は、皮膚トラブルや毛並みの悪化につながることがあります。例えば、過剰なストレスから体を舐め続けたり、毛をむしってしまったりする「心因性脱毛」が起こることもあります。

 

ストレスを解消し、規則正しい生活を送るために

愛犬のストレスを軽減し、心身ともに健康な状態を保つことが、美しい毛並みにつながります。

  • 十分な運動と散歩: 毎日、適切な量の運動と散歩を行い、エネルギーを発散させましょう。散歩は気分転換にもなり、ストレス解消に役立ちます。
  • 質の良い睡眠: 犬も人間と同様に、十分な睡眠が必要です。安心して休める静かで快適な寝床を用意してあげましょう。
  • 愛犬とのコミュニケーション: 遊びの時間や、優しく撫でてあげるなど、愛犬とのコミュニケーションを積極的に取りましょう。飼い主さんとの絆を深めることは、犬の精神的な安定につながります。
  • 退屈させない工夫: おもちゃを与えたり、知育玩具を取り入れたりして、犬が退屈しないように工夫することも大切です。
  • 生活環境の見直し: 犬にとって快適な室温、湿度を保ち、騒がしい場所や刺激が多い場所を避けるなど、生活環境を整えましょう。
  • 環境の変化への配慮: 引っ越しや家族構成の変化など、犬にとって大きな環境の変化があった場合は、特に注意深く様子を見てあげましょう。

 

 

こんなときは要注意!毛並みの異常から考えられる病気と受診の目安

 

毛並みの悪化は、単なる美容の問題だけでなく、病気のサインであることも少なくありません。以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

 

毛並み・皮膚の異常のサイン

  • 急激な脱毛や部分的な脱毛: 特定の場所にだけ毛がごっそり抜け落ちている。
  • 皮膚の赤み、かゆみ、湿疹、フケの増加: 愛犬が頻繁に体を掻いたり、舐めたりしている。
  • 皮膚のただれ、かさぶた、できもの: 明らかな皮膚の損傷が見られる。
  • 毛並みのべたつきや異臭: 皮脂の過剰分泌や細菌感染の可能性。
  • 全身的な元気のなさ、食欲不振、体重減少: 毛並みの悪化に加えて、これらの症状が見られる場合は、内臓疾患の可能性も。

 

考えられる病気

毛並みの異常から考えられる主な病気には、以下のようなものがあります。

  • アレルギー性皮膚炎: 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など。強いかゆみや皮膚炎が特徴です。
  • 内分泌疾患:
    • 甲状腺機能低下症: 代謝が低下し、脱毛、皮膚の乾燥、元気消失、体重増加などが見られます。
    • クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症): 左右対称性の脱毛、皮膚の薄化、多飲多尿などが見られます。
  • 寄生虫: ノミ、ダニ(疥癬、ニキビダニなど)、シラミなど。強いかゆみや脱毛を引き起こします。
  • 真菌症(皮膚糸状菌症): 丸い脱毛斑やかさぶたが見られることがあります。
  • 細菌性皮膚炎(膿皮症): 細菌感染により、赤み、かゆみ、膿疱などが見られます。

 

動物病院を受診する目安

上記のような気になる症状が見られたら、自己判断せずに早めに動物病院を受診しましょう。特に、以下の場合は緊急性が高いと言えます。

  • かゆみが強く、夜も眠れないほど掻いている
  • 皮膚が広範囲に赤く腫れている、ただれている
  • 毛並みの異常に加えて、元気がない、食欲がない、嘔吐、下痢などの全身症状が見られる
  • 急激に脱毛が進行している

獣医師は、問診や視診、場合によっては皮膚検査、血液検査などを行い、正確な診断と適切な治療法を提案してくれます。早期発見・早期治療が、愛犬の健康とQOL(生活の質)を守るために非常に重要です。

 

よくある質問(Q&A)

 

Q1: ドッグフードを変えるだけで毛並みは良くなりますか?

A1: ドッグフードの変更は、毛並みを改善するための重要な要素の一つですが、それだけで全てが解決するとは限りません。栄養バランスの取れたフードを選ぶことはもちろん大切ですが、ブラッシングやシャンプーなどの外部からのケア、十分な運動とストレスのない生活環境も合わせて見直すことで、より効果的な改善が期待できます。現在のフードで改善が見られない場合は、動物病院で相談し、体質や健康状態に合ったフードを検討することをおすすめします。

 

Q2: 人間用のシャンプーを犬に使っても大丈夫ですか?

A2: 人間用のシャンプーを犬に使用することは絶対に避けてください。人間と犬では皮膚のpH値が異なり、人間用のシャンプーは犬の皮膚にとっては刺激が強すぎます。皮膚の乾燥、フケ、かゆみ、皮膚炎などのトラブルを引き起こす原因となります。必ず犬専用のシャンプーを使用し、できれば低刺激性や敏感肌用のものを選ぶようにしましょう。

 

Q3: 毛並みを良くするために、自宅でマッサージしてもいいですか?

A3: はい、自宅でのマッサージは毛並みを良くするために非常に効果的です。特にブラッシングの際に優しく皮膚をマッサージするように行うと、血行が促進され、健康な被毛の成長を促します。また、リラックス効果もあり、愛犬との絆を深めることにもつながります。ただし、皮膚に炎症や傷がある場合は、悪化させる可能性があるため控えてください。

 

Q4: サプリメントは毛並み改善に効果がありますか?

A4: 適切なサプリメントは、毛並み改善に役立つことがあります。特に、必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)、ビタミン、ミネラルなど、被毛の健康に必要な栄養素が不足している場合に有効です。ただし、自己判断で与えるのではなく、必ず獣医師に相談し、愛犬の健康状態や食事内容を考慮した上で、最適なサプリメントを選ぶようにしましょう。過剰な摂取はかえって健康を損なう場合もあります。

 

Q5: 毛並みが悪いのは病気のサインですか?

A5: 毛並みの悪化は、単なるケア不足や栄養不足だけでなく、様々な病気のサインである可能性も十分にあります。特に、急な脱毛、皮膚の赤みやかゆみ、フケの異常な増加、体臭の変化、または元気や食欲の低下などの症状が伴う場合は、内臓疾患や皮膚病、ホルモン疾患などの可能性が考えられます。気になる症状が見られたら、早めに動物病院を受診し、獣医師に相談することをおすすめします。

 

まとめ

 

今回は、「犬の毛並みや毛艶を良くする方法」について詳しく解説しました。愛犬の美しい毛並みは、日々の適切な被毛ケア、バランスの取れた食事、そしてストレスのない規則正しい生活習慣によって保たれます。

もし、愛犬の毛並みに異常が見られたり、心配な症状がある場合は、自己判断せずに、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。獣医師は、愛犬の状態を正確に診断し、最適なアドバイスや治療法を提案してくれます。日々のケアと定期的な健康チェックで、愛犬の健康と輝く毛並みを守ってあげましょう。

 

 

 

最新情報をチェックしよう!