シニア犬の食事内容と与え方|食欲低下・消化不良への対策を解説

愛犬が年を重ね、シニア期に入ると、「今までと同じ食事で大丈夫かな?」「食欲が落ちてきたけど、どうしたらいい?」と不安になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

シニア犬は、消化機能の低下や運動量の減少、足腰の衰えなど、様々な体の変化が起こります。そのため、若い頃と同じ食事内容や与え方では、健康を維持するのが難しくなってしまうことがあります。

この記事では、獣医師監修のもと、シニア犬の食事で特に注意すべき点や、健康をサポートするための具体的な方法を詳しく解説します。愛犬の体の変化に合わせて食事を工夫し、いつまでも元気で健やかな毎日を送れるよう、一緒に考えていきましょう。

 

この記事を読むことでわかること

  • シニア犬の食事で気を付けるべき5つのポイント
  • 消化不良や食欲不振が起こる原因と具体的な対策
  • シニア犬に最適なドッグフードの選び方
  • 水分補給を促すための簡単な工夫
  • 食事が原因で病気を疑うべき症状

 

 

シニア犬の食事内容で気をつけたい5つのポイント

 

シニア犬の健康を維持するためには、食事内容や与え方に配慮することが非常に重要です。以下の5つのポイントを意識して、愛犬に合った食事を準備してあげましょう。

 

1. 消化しやすい食事を心がける

シニア犬は消化酵素の分泌が減少し、胃腸の働きが弱くなります。そのため、消化に負担のかかる食事は避けるべきです。
【具体的な対策】

  • 一度に与える食事の量を減らし、回数を増やす(1日3〜4回に分ける)。
  • 高脂肪な食事は避け、良質で消化性の高い動物性タンパク質(鶏ささみ、魚など)を主成分とするフードを選ぶ。

 

2. 適正体重を維持する

シニア犬は運動量が減るため、若い頃と同じ量を食べていると肥満になりがちです。肥満は関節炎や心臓病、糖尿病などのリスクを高めます。
【具体的な対策】

  • シニア犬用の低カロリー・低脂肪なフードに切り替える。
  • おやつは与えすぎず、一日の総カロリー量をしっかり管理する。
  • おやつをあげる代わりに、一日の食事の一部を分けて与える。

 

3. 水分補給をしっかり行う

シニア犬は喉の渇きを感じにくくなったり、腎機能が低下したりするため、脱水症状になりやすくなります。十分な水分補給は腎臓病予防にもつながります。
【具体的な対策】

  • フードにぬるま湯や犬用スープをかける。
  • ドライフードからウェットフードに切り替える。
  • 複数の場所に新鮮な水を置く。
  • 水入れの容器をプラスチックから陶器に変えてみる。

 

4. 関節や脳の健康をサポートする成分を取り入れる

加齢に伴う関節炎や認知機能の低下を予防・改善するために、食事でサポートしてあげることが大切です。
【具体的な対策】

  • 関節ケア: グルコサミンやコンドロイチン、EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)が含まれたフードやサプリメントを取り入れる。
  • 脳の健康: オメガ3脂肪酸、中鎖脂肪酸などが含まれたフードを選ぶ。

 

5. 歯の健康を守る

歯周病が進行すると、食欲不振や口の痛みの原因になるだけでなく、全身の病気につながることもあります。
【具体的な対策】

  • 食後に歯磨きを習慣化する。
  • 噛む力が弱くなってきたら、ふやかしたドライフードやウェットフードに切り替える。

 

シニア犬がご飯を食べない…食欲低下の原因と対処法

 

シニア犬になると、食欲が落ちてしまうことが多くなります。元気がない、好きなものを食べないなど、食欲不振には様々な原因が考えられます。

 

考えられる原因

1. 加齢による嗅覚・味覚の低下
嗅覚や味覚が鈍くなると、食事への興味を失い、食欲が低下することがあります。

2. 噛む力や飲み込む力の衰え
歯周病や歯の痛み、あごの力の衰えで、硬いドライフードを食べるのが辛く感じることがあります。

3. 姿勢のつらさ
関節炎や腰痛などで、頭を下げて食事をする姿勢がつらくなることがあります。

4. 病気や体調不良
食欲不振は、胃腸炎、腎臓病、肝臓病、心臓病、口腔内の病気など、様々な病気のサインである可能性もあります。食欲がない以外に、下痢、嘔吐、元気がないなどの症状が見られる場合は特に注意が必要です。

 

食欲不振への具体的な対処法

上記で挙げた原因に合わせて、以下のような対策を試してみましょう。

  • 食事の香りを立たせる: フードを少し温めたり、犬用ふりかけやスープをかけたりして香りを引き立たせる。
  • フードの硬さを調整する: ぬるま湯でふやかしたフードや、ウェットフードに切り替える。
  • 食器の高さを調整する: 首や足腰に負担がかからないよう、食器台を使って器の位置を高くする。
  • 病気の可能性を考える: 色々工夫しても全く食べない場合は、病気の可能性もあるので、早めに獣医師に相談しましょう。

 

こんなときはすぐに動物病院へ!

 

単なる食欲不振ではなく、以下のような症状が見られる場合は、重篤な病気が隠れている可能性があります。迷わずすぐに動物病院を受診してください。

  • 食欲不振が24時間以上続く場合
  • 嘔吐や下痢を繰り返している場合
  • 水を飲まない、尿が出ないなど脱水症状の疑いがある場合
  • ぐったりしている、呼吸が速い、痙攣しているなど、明らかに元気がない場合

 

よくある質問(FAQ)

 

Q1. シニア犬用のドッグフードは、いつから切り替えるべきですか?

一般的には、小型・中型犬は7歳頃、大型犬は5〜6歳頃から切り替えを検討すると良いでしょう。愛犬の健康状態やライフスタイルによって適した時期は異なりますので、かかりつけの獣医師に相談して決めるのが最も確実です。

 

Q2. 手作りごはんはシニア犬に適していますか?

手作りごはんは、消化のしやすさや水分量の調整がしやすいというメリットがあります。ただし、栄養バランスが偏らないよう、専門家(獣医師やペット栄養管理士など)の指導のもとで行うことが重要です。

 

Q3. ドッグフードをふやかす時のお湯の温度は?

熱すぎるお湯を使うと、フードに含まれるビタミンなどの栄養素が壊れてしまう可能性があります。人肌より少し温かい、40〜50℃程度のぬるま湯がおすすめです。

 

Q4. シニア犬の食事量は、どのくらいが適切ですか?

年齢や犬種、活動量、体重によって異なります。まずはパッケージに記載されている給与量を参考にし、定期的に体重を測定しながら調整しましょう。かかりつけの獣医師に相談し、その子に合った適切な量を教えてもらうのが一番良い方法です。

 

まとめ

 

シニア犬の食事は、愛犬の健康と長寿に大きく影響します。加齢による体の変化を理解し、食事内容や与え方を工夫することで、快適なシニアライフをサポートしてあげることができます。

  • 消化機能の低下に合わせて、食事の回数を増やし、消化しやすいフードを選ぶ。
  • 肥満を防ぐため、低カロリー・低脂肪のシニア犬用フードに切り替える。
  • 水分不足を防ぐため、フードに水分を加えたり、食器を工夫したりする。
  • 食欲不振が続く場合は、病気の可能性も視野に入れ、早めに動物病院を受診する。

愛犬の小さな変化を見逃さず、食事を通して愛情を伝えていきましょう。

 

 

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