
獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
暑さが厳しい季節になると気になるのが熱中症です。熱中症は夏に多いイメージの病気で、治療が遅れてしまうとそのまま亡くなってしまうこともあるため、症状、原因、対処法を知っておくことをおすすめします。
ここでは、犬の熱中症の症状、原因、対処法についてご紹介します。
熱中症の症状

犬の熱中症は軽度の症状の時に気づき対処することが大切です。熱中症の症状だと気が付かないような症状もあるため、気づくのが遅れてしまうケースもあります。
ここでは、熱中症の症状についてご紹介します。
1)呼吸数と心拍数の増加
症状として、呼吸数と心拍数が増加します。息が荒くなり、開口呼吸(パンティング)をして体の熱を逃がそうとします。
気温の高い時はパンティングだけでは体温を下げることは難しいので増加した時には涼しい場所で十分休ませることが大切です。
2)落ち着きがなくよだれが多くなる
症状として、落ち着きがなくなりよだれの量が多くなります。
よだれの量が増えると脱水症状になりやすくなるため、涼しい場所で水分補給の時間をとりましょう(パンティングの回数が増えることでも唾液の蒸発が増加し脱水を助長します)。
3)フラフラしている
進行するとフラフラし、しっかり歩けなくなります。歩けなくなるまで症状が進行してしまうと重篤な症状を引き起こす可能性が高くなります。
4)呼びかけても反応しない
進行すると、呼びかけても反応しなくなります。重篤な症状でほとんど意識を失っている状況です。
5)下痢や嘔吐
進行すると、下痢や嘔吐を繰り返します。重篤な症状で、すぐに処置を行わなければ命に関わる可能性が高い状態です。
6)けいれん
進行すると、けいれんが起こります。重篤な症状で、すぐに処置が必要になります。すぐに動物病院を受診しましょう。
熱中症の原因

熱中症の原因は「体温の上昇」です。
犬は体から熱を逃がすことが苦手な動物なので、熱中症を引き起こしやすくなります。夏場の散歩や室温管理、トリミングの時には特に犬の体に熱がこもらないように注意しましょう。
他にも、短頭種、寒い地域原産の犬、肥満犬、シニア犬、毛色の濃い犬などは熱中症を引き起こしやすい犬です。これらの犬を飼育している場合はより注意することが大切です。
熱中症の対処法

熱中症にならないように気をつけていても、熱中症を引き起こしてしまうこともあります。熱中症になってしまった時はできるだけ早く対処することが必要となります。
ここでは、熱中症の対処法についてご紹介します。
1)涼しい場所に連れていく
熱中症の応急処置として、涼しい場所につれていきましょう。日陰で体温をこれ以上あげないようにしましょう。できれば犬を抱き上げて連れていきましょう。
2)体を水で冷やす
熱中症の応急処置として、体を水で冷やしましょう。熱中症の時の応急処置として一番効果的です。水を体にかけて体温を下げてあげましょう。
室内であれば、霧吹きで水をかけて、扇風機やドライヤーの冷風を当てて気化熱を利用して下げてあげる方法もあります。
3)保冷剤などで冷やす
熱中症の応急処置として、タオルにくるんだ保冷剤で首、脇、内股を冷やしましょう。大きな血管がはしっているため体温を下げるのに効果的です。
【まとめ】

ここでは、犬の熱中症の症状、原因、対処法についてご紹介しました。
熱中症は短時間で進行する怖い病気です。熱中症になってしまったら、応急処置後すぐに動物病院を受診しましょう。