獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
以前こちら↓の記事で、「犬も脳梗塞になる可能性があること」についてお話しました。
犬の脳梗塞とは、脳の血管がなんらかの原因で詰まり、血流が途絶えることで脳組織が機能しなくなる病気です。
人間と比べると頻度は少ないとされていますが、犬が脳梗塞を発症すると意識障害、運動失調、けいれん発作などさまざまな症状があらわれます。
今回は、犬が脳梗塞を発症した場合どのような検査や治療をするのか、予防する方法はあるのかに焦点を当ててお話していきたいと思います。
犬の脳梗塞の診断・検査方法
脳梗塞が疑われる症状が見られる場合は、神経学的検査をおこない、さらにMRIやCTによる画像検査で確定診断とします。
神経学検査では、歩き方や脊髄反応、目の反射、意識の状態などを調べて、病変の場所を推測します。
また、犬の脳梗塞では、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、心臓病などが原因となることも多いと言われています。
これらの病気が隠れていないかを確認するために、身体検査や血液検査、凝固検査、超音波検査、ホルモン検査などがおこなわれる場合もあります。
犬の脳梗塞の治療法
犬の脳梗塞は、症状が見られたときには、すでに時間が経っていることが多く、ほとんどは改善します。
そのため、対症療法がおこなわれるのが一般的で、外科手術が選択されることはまれです。
治療では、症状に合わせて血栓溶解剤、降圧剤、利尿剤、ステロイド剤などが投与されます。
また、脳梗塞の原因に内分泌疾患や心臓病などがある場合は、並行してそれらの治療にあたります。
脳梗塞の症状が落ち着いたら、必要に応じて機能を回復するためのリハビリテーションがおこなわれます。
犬の脳梗塞の予防法
犬の脳梗塞においては、明確な原因が分かっていないため、今のところ確立された予防法もありません。
そのためご家庭でできることは、愛犬の歩き方がおかしい、反応が鈍い、頭が傾いているなど、脳梗塞が疑われるような症状が見られた際にできるだけ早く動物病院を受診することと言えます。
【まとめ】
脳梗塞はどの犬にも平等に起こりうる病気ですから、決して他人事ではありません。
しかも、犬の脳梗塞には確立された予防法がなく、未然に発病を防ぐのは困難とされています。
そのため、ご家庭では日頃から愛犬の様子を注意深く観察し、病気の早期発見、早期治療につながるようにすることがなにより大切となります。
少しでも気になる症状がある場合は、獣医師に相談しましょう。