獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
梅⾬の時期に⼊り、気温と湿度があがって蒸し暑くなるとカビやダニの発⽣が増えるため、アトピー性⽪膚炎などの⽪膚トラブルが増えていきます。
特に肌の弱い⼦は悪化しやすいといわれていますので要注意です。
今回は梅⾬から夏にかけて悪化しやすい「⽝のアトピー性⽪膚炎」についてご紹介します。
アトピー性⽪膚炎ってどんな病気?
通常の⽝にくらべ⽪膚のバリア機能が低いため※1、普段の生活環境の影響を受けやすく、本来であれば体に害のないものに触れたり、吸ったりすることで免疫が過剰に働き、皮膚に炎症や痒みが引き起こされた状態のことをアトピー性皮膚炎といいます。
※1遺伝的素因も関係します。
体に害のないものとは、小さなほこり・フケ・ダニの糞や死骸・カビ・花粉などどんな環境にも存在するもののことをさします。
また、特定の植物に対して反応することもあり、「毎年この季節になると特にかゆがる」といったケースもあります。
<アトピー性皮膚炎の好発犬種>
柴犬・秋田犬・ウエストハイランドホワイトテリア
・フレンチブルドッグ・シーズー・ラブラドールレトリーバー
どんな症状がでる?
主な症状はしつこいかゆみ。
かゆみにより患部を掻きこわしてしまい、出⾎・脱⽑・⽪膚がかたくなる・⾊素沈着で⿊くなる・悪臭がすることがあります。
- 舐める
- 噛む
- 引っかく
- 体や頭を振り、こすりつける
- 皮膚の赤み
- 発疹
かゆみの症状だけでは、他の皮膚病や食物アレルギーかアトピー性皮膚炎かを分けることはできません。
アトピー性皮膚炎では、皮膚の症状(赤身や腫れ、脱毛など)がないにもかかわらず体の一部、特に、前肢をしきりに舐めている症状がみられることが多いです。
どこにできやすい?
<顔>
目の周り・口の周り・あご・耳(外耳炎)
<手足>
わきの下・後あしの内もも(鼠けい部)・肘の内側・手先足先・肉球の間
<体>
胸のあたりやお腹あたり
※全体として擦れやすい場所にできやすく前あしの手先や耳介に見られることが多いです。
治療法は?
病院で診察をおこない、飲み薬や外用薬を出してもらいます。
または薬が入ったシャンプーで保湿や抗菌や痒みを抑えることができます。
かゆみをコントロールするためには時間とお金がかかりますが、大事なことは治療を一度始めた時に自己判断で勝手にやめないことです。
また、犬がふだん過ごしている家のベッドやソファーなどを掃除することや、ブラッシングを行い体についたダニや花粉を落として常に清潔に保つこともとても大切です。
まとめ
⽝のアトピー性⽪膚炎とは、ほこりやダニなどの刺激に過剰に反応して、体がかゆくなる⽪膚病です。
アトピー性⽪膚炎は、遺伝や体質によるところが⼤きいため完治が難しいといわれています。
そのため、飲み薬や塗り薬による治療、スキンケアなどでかゆみや症状を緩和し、かゆみと上⼿に付き合っていく必要があります。
愛⽝のかゆみが気になるときは、動物病院で相談してみてください。