獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
愛犬がいつも同じところをかゆがっていることはありませんか?
犬が体をかくことはよくありますが、かき過ぎて血が出る場合や毛が抜けている場合は注意が必要です。
かゆみの原因は寄生虫や感染などいろいろありますが、ここでは主にアレルギー性皮膚疾患についてお伝えします。
アレルギー皮膚疾患には、
- アトピー性皮膚炎
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 接触性アレルギー
などがありますが、今回は「食物アレルギー」についてお話したいと思います。
食物アレルギーとは?
原因となる食べ物を食べたり、触れたりすることで免疫が過剰に働き、かゆみや軟便(あるいは排便回数の増加など)が引き起こされた状態のことを食物アレルギーといいます。
これは、ドッグフードやおやつなどの原材料中に含まれるたんぱく質に過剰に反応することが原因といわれています。
よく原因として挙げられる食べ物は、
- 牛肉
- 馬肉
- 牛乳
- 卵
- 魚
- 大豆
- 小麦
- 米
- トウモロコシ
- ジャガイモデンプン などです。
食物アレルギーは1歳未満から発症が多く、季節を問わず1年中症状が現れます。
柴犬・フレンチブルドッグ・ダックスフント・チワワは食物アレルギーの好発犬種とされています。
どんな症状?
犬の食物アレルギーの主な症状は、皮膚のかゆみや赤み、発疹です。そのほかに、軟便〜下痢・嘔吐といった消化器症状が続く犬もいます。
- 舐める
- 噛む
- 引っかく
- 体や頭を振り、こすりつける
- 皮膚の赤み
- 発疹
これらの症状だけでは犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを分けることはできませんが、消化器症状は犬アトピー性皮膚炎では見られません。
どこにできやすい?
<顔>
目の周り・口の周り・あご・耳(外耳炎)と耳介のヘリの部分
<手足>
わきの下・手先足先・肉球の間
その中でも、目の周り、口の周りに表れることは結構多いです。食物アレルギーでは犬アトピー性皮膚炎と違って腰背部にも症状が出ます。
また、肛門周りなど粘膜に出ることもあります。
治療法は?
病院で診察をおこない、犬アトピー性皮膚炎ではないことをアレルギー検査などを含めた血液検査などで診断した上で、原因となる食べ物を含まないペットフード・今まで口にしたことのないタンパク質や炭水化物が原材料として用いられているフード(除去食)に変えます。
そのまま2か月以上与え続けても症状が良くならない場合は、そのフード中に含まれるほかの原料中のタンパク質が原因と考えられます。その場合は、別の療法食に変更してみます。
ここで大事なことは症状が良くなってもフードを変えないこと、除去食以外の食べ物やおやつを与えないことです。
家族の1人でもこのことを知らずにおやつを与えるだけで、いつまで経っても治らず治療が困難になることもあるので、家族全員が治療中であることを知ることはとても大切です。
また、ペットフードの種類を頻繁に変えたり、新しいおやつをあげることで下痢をすることもあります。
なるべく同じフードやおやつをあげることも食物アレルギーの発症を抑えることにも繋がるので参考にしてみてください。
まとめ
食物アレルギーとはペットフードに含まれる肉や穀物などの原料中に含まれるたんぱく質に反応してかゆみや軟便などの症状を引き起こした状態のことです。
目の周りのかゆみや外耳炎がなかなか治らないときは注意が必要です。
病院で診察してもらい、ペットフードを変えることで症状が良くなることもあるので、まずは動物病院で相談してみてください。