愛犬の健康と、暮らしを楽しむ「ドッグジャーナル」

病気

狂犬病に感染しても助かる可能性がある?!

監修者

獣医師

島田 真美

ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師

狂犬病の治療法


狂犬病ウイルスに感染すると、犬で平均1ヶ月、人の場合で通常1〜3ヶ月の潜伏期間を経て発症します。

狂犬病に感染後、発症してしまうと人も動物も有効とされる治療法がありません。

そのため、人以外の動物の場合、基本的に治療はおこなわれず、残念ながら安楽死させることになります。

人が狂犬病を発症した場合、苦痛や不快感を取りのぞく支持療法がおこなわれますが、ほぼ100%の方が亡くなります。

そのため、感染が疑われる動物に咬まれたり、引っかかれたりした際には、できるだけ早く医療機関を受診し、発症を予防するワクチンを接種します。

※WHOは狂犬病ワクチン接種に加えて、抗狂犬病免疫グロブリンの投与を推奨していますが、日本国内では抗狂犬病免疫グロブリン製剤が承認されておらず、入手はほとんど不可能なため、ワクチン接種のみをおこないます。欧米のワクチンでは5回、日本のワクチンでは6回の接種をおこなうのが一般的です。

また、傷を受けたあとの応急処置として、傷口を石鹸と流水でよく洗います。これは体内に侵入するウイルスの量を減らすのが目的です。

※粘膜からの感染を避けるため、吸い出したりしないようにしてください。


狂犬病の予防法


狂犬病予防法では、生後91日以上の犬を飼いはじめたら30日以内に狂犬病の予防接種を受けさせることが義務づけられています。

その後は年に1回(4月1日〜6月30日のあいだ)接種します。

日本では狂犬病予防接種の対象は犬のみです。狂犬病予防が徹底されていない地域における人への感染の約9割が犬だからです。

予防接種によって犬への感染が起きにくい状態にしておけば、万一どこからか狂犬病が入り込んだとしても犬のあいだでの蔓延が防げます。

そうすることで、人や野生動物を含めたほかの動物にまで広まるリスクを抑えられると考えられているためです。

日本は数少ない狂犬病清浄国ですが、海外ではまだまだ狂犬病リスクの高い国がたくさんあります。

海外旅行の際に犬や野生動物に接触する機会がある場合は、渡航前に予防接種を受けておくことをおすすめします。

【まとめ】


狂犬病は日本国内では長らく発生がなく、普通の人やペットが感染するリスクはほとんどありません。

年に1度の犬への予防接種も必要ないのではないかと考える飼い主さんも増えつつあると言われています。

しかし、世界的に見れば毎年5万人もの人命と十数万頭にもおよぶ動物の命が狂犬病によって奪われつづけています。

しかも、いったん発症してしまえば有効な治療法はいまだに見つかっておらず、死亡率はほぼ100%のままなのが現状です。

そういうおそろしい疫病が世界では猛威をふるっているのだということを忘れてはなりません。

海外旅行などの際には旅行先の状況を確認し、必要に応じて予防接種を受けるなどの対策もしておきましょう。


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