愛犬の健康と、暮らしを楽しむ「ドッグジャーナル」

病気

犬の歯周病と初期症状について

監修者

獣医師

島田 真美

ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師

犬の歯周病はどんな病気?


歯周病は、歯周病菌が歯と歯茎の間に入り込んで炎症を起こす病気です。重症化すると歯を支えている骨が溶けたり、下あごを骨折したりすることもあります。

また、歯だけにとどまらず、腎臓や心臓などにも影響がおよぶこともあり油断ができません。


歯周病は口内の細菌によって引き起こされます。

犬の歯は歯磨きをしないと6~8時間ほどで細菌の塊(細菌と細菌の産生物)である歯垢が付着します。歯垢は唾液中のミネラル分が沈着石灰化して3〜5日で歯石となり、歯垢がより溜まりやすくなります。放っておくとさらに細菌が繁殖して歯周病につながるのです。


歯周病には歯肉炎と歯周炎があります。

歯肉炎は初期の比較的軽い状態です。歯茎が赤く腫れ、食事の際などに出血が見られます。この段階で治療をはじめれば治せますが、放置すると悪化して歯周炎に移行します。

歯周炎になると歯茎の腫れが大きくなり、口臭も強くなります。炎症が歯茎の下の部分(歯根部、歯槽骨)まで波及し、進行すると歯茎から膿が出たり、歯が抜けたりといった症状が見られるようになるでしょう。


米国獣医歯科学会の研究によると3歳以上の犬の80%以上がなんらかの歯周病を持っているそうです。

初期症状がほとんどないこともあって、飼い主も気付きにくいため注意が必要です。定期的に歯の検診を受けることをおすすめします

歯周病になりやすい犬の特徴


イギリス王立獣医科大学の研究で、歯周病になりやすい犬の特徴が明らかになりました。

  • 中頭種と比べて短頭種は1.3倍リスクが高い
  • スパニエル種は1.6倍リスクが高い
  • 大型犬よりも小型犬のほうがリスクが高い
  • もっとも発症リスクが高いのはトイプードル
  • 歳をとると歯周病を発症しやすくなる


このことから、短頭種の小型犬で高齢の犬が歯周病を発症しやすいことがわかります。

歯周病を疑うべき初期症状


歯周病は歯肉炎の段階で治療すれば治すことができます。しかし、初期症状はわかりにくいため、初期の段階で気づくのは難しいといいます。

もし、以下の症状が見られたら、歯肉炎の可能性がありますので獣医師に相談してください。

歯茎が赤い、腫れている
▶歯が汚れている
▶よだれの量が増えた
▶フードを食べづらそうにする
▶口臭が気になる
▶噛んだおもちゃに血が付着する
▶口まわりに触るのを嫌がる


これらの症状は日頃から歯磨きをしていると早い段階で気づくことができます。愛犬の健康を守るためにも毎日の歯磨きを習慣にしましょう。

まとめ


犬にとって、歯周病はかかりやすい病気のひとつです。悪化すると健康にも影響が出るため、早期発見、早期治療がとても重要になります。


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