犬の花粉症対策|飼い主さんが知っておくべき症状・原因・予防策まで徹底解説

「愛犬がなんだか体をかゆがっている」「くしゃみや涙が多くなった」—もしかしたら、それは花粉症かもしれません。

花粉症は人間だけでなく、犬にも発症するアレルギー性の疾患です。しかし、犬は人間のように「目がゴロゴロする」といった言葉で症状を伝えられません。そのため、飼い主さんが日頃から愛犬の様子をよく観察し、適切な対策を取ってあげることが大切です。

この記事では、犬の花粉症について、その症状や原因から、自宅でできる具体的な対策、病院に連れて行くべきタイミングまで、獣医師監修のもと詳しく解説します。

この記事を読めば、以下のことが分かります。

 

  • 犬の花粉症でよく見られる症状
  • 花粉症の原因となる植物の種類
  • 自宅でできる5つの具体的な花粉症対策
  • 病院を受診するべき症状の目安
  • 愛犬の花粉症に関するよくある質問

愛犬のつらい症状を和らげるために、ぜひ最後までお読みください。

 

犬も花粉症になる?症状や原因を理解しよう

 

犬の花粉症は、アレルギー性皮膚炎の一種として、特定の植物の花粉に体が過剰に反応することで引き起こされます。

犬の花粉症でよく見られる症状

人間の場合、くしゃみや鼻水、目の痒みなどが主な症状ですが、犬の場合は皮膚症状が中心となることが一般的です。

以下のような症状が見られたら、花粉症を疑いましょう。

  • 体を激しくかゆがる
    特定の部位だけでなく、全身をかゆがることがあります。
  • 皮膚が赤くなる・湿疹ができる
    特にお腹や脇の下、内股、耳の中などが赤くなったり、湿疹ができたりします。
  • 体を頻繁になめる・噛む
    かゆみを感じる部位(手足の指の間など)を執拗になめたり、噛んだりして、被毛が変色したり、脱毛したりすることがあります。
  • くしゃみや鼻水、涙が多くなる
    人間と同じような呼吸器症状や目の症状が現れることもあります。
  • 耳の炎症(外耳炎)
    耳をひどくかゆがったり、頭を振ったりする仕草が見られる場合があります。

 

犬の花粉症の原因となる植物

犬の花粉症の原因となる植物は、地域や季節によって異なります。主に以下の植物が原因になりやすいとされています。

  • スギ・ヒノキ
    春(2〜4月)に飛散量が多く、人間と同じく代表的なアレルゲンです。
  • イネ科の植物
    カモガヤ、オオアワガエリなど。春から秋にかけて飛散し、特に公園や河川敷の草むらに多く生えています。
  • キク科・ブタクサ
    夏から秋(8〜10月)にかけて飛散します。空き地や道端によく見られます。

 

今日からできる!愛犬の花粉症対策5選

 

犬の花粉症は、原因となる花粉との接触をなるべく避けることが最も効果的な対策です。以下にご紹介する5つの方法を実践して、愛犬のつらい症状を和らげてあげましょう。

 

1. 花粉の飛散が多い時間帯や場所を避けてお散歩する

花粉の飛散量を天気予報などで確認し、できるだけ花粉に接触しないように心がけましょう。

  • 花粉の飛散が多いとされる日
    最高気温が高い日、湿度が低い日、風が強い日、雨が降った次の日などは特に注意が必要です。
  • 花粉の飛散ピークの時間帯
    一般的に、都市部では昼前後(11時〜14時)と日没後(17時〜19時)が花粉の飛散ピークだと言われています。お散歩はこの時間帯を避けるのがおすすめです。
  • 草むらや公園を避ける
    イネ科やブタクサなどの花粉は、草むらに多く存在します。お散歩の際は、こうした場所になるべく立ち入らないようにしましょう。

 

2. お散歩のときは洋服を着せる

犬の被毛は花粉が付着しやすいため、お散歩の際は洋服を着せて、花粉の付着を物理的に避けるようにしましょう。

特に、静電気防止加工や撥水加工が施された洋服は、花粉が付着しにくいためおすすめです。洋服は必ず玄関に入る前など、外で脱がせるようにしてください。

【ワンポイントアドバイス】
洋服を嫌がる場合は、無理強いせず、洋服を着せておやつをあげるなどして、少しずつ慣れさせてあげましょう。洋服が苦手な子の場合は、後述するブラッシングや拭き取りで対策を徹底してください。

 

3. お散歩後の徹底した花粉除去

洋服を着せていても、花粉の付着を完全に防ぐことはできません。お散歩から帰ったら、家に入る前に必ず花粉を落としましょう。

  • ブラッシング
    玄関先でブラッシングして、被毛に付着した花粉を払い落とします。ブラッシングの際に軽く被毛を湿らせることで、花粉の舞い上がりを抑えられます。
  • 拭き取り
    濡れタオルやペット用のウェットシートで、足の裏、お腹、顔周りなどを丁寧に拭いてあげましょう。

 

4. 定期的なシャンプーと保湿ケア

ブラッシングや拭き取りだけでは落としきれない花粉を、シャンプーで洗い流してあげましょう。定期的なシャンプーは、皮膚を清潔に保ち、かゆみを軽減する効果も期待できます。

ただし、シャンプーをしすぎると皮膚のバリア機能が低下し、かえって症状が悪化する場合があります。獣医師と相談しながら、愛犬の皮膚の状態に合ったシャンプー頻度を見つけましょう。

シャンプー後は、保湿性の高いリンスや保湿スプレーでしっかりとケアをして、皮膚の乾燥を防いであげてください。健康な皮膚を保つことで、外部からのアレルゲンの侵入を防ぐことにつながります。

 

5. 室内環境を整える

外出時だけでなく、室内での花粉対策も重要です。

  • 空気清浄機の活用
    花粉を室内に持ち込まないようにするために、高性能フィルターを備えた空気清浄機を設置するのが効果的です。特に愛犬がよく過ごすリビングや寝室に置くと良いでしょう。
  • こまめな掃除と換気
    定期的に掃除機をかけたり、拭き掃除をしたりして、床や家具に落ちた花粉を取り除きましょう。換気をする際は、窓を少しだけ開けたり、レースカーテンを閉めたままにしたりするなど、花粉の侵入を最小限に抑える工夫をしてください。

 

こんなときは病院へ!受診するべき症状の目安

 

「たかが花粉症」と自己判断で済ませてはいけません。以下の症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

  • かゆみがひどく、夜も眠れていない
  • 皮膚がただれて出血したり、膿(うみ)が出たりしている
  • 食欲や元気がない、発熱している
  • 呼吸が苦しそう、咳き込んでいる
  • 今までになかった症状が出てきた

犬の花粉症は、他のアレルギー性疾患や感染症と症状が似ていることがあります。正確な診断と適切な治療を受けるためにも、気になる症状があればすぐに獣医師に相談することが重要です。

 

【動物病院での治療法】
診断の結果、花粉症と判断された場合、かゆみを抑えるための内服薬(抗ヒスタミン剤、ステロイドなど)や、症状がひどい場合には注射薬が処方されます。また、ノミ・ダニ予防、食事療法、薬用シャンプーによるケアなど、総合的な治療プランが立てられることもあります。

 

犬の花粉症に関するよくある質問

 

Q1. 犬の花粉症は治りますか?

残念ながら、花粉症を根本的に完治させる治療法はまだありません。しかし、適切な対策と治療によって、症状をコントロールし、愛犬の生活の質(QOL)を高く保つことは可能です。

 

Q2. 病院に行く前に、飼い主ができることはありますか?

まずは、この記事で紹介した「接触を避ける」「花粉を徹底的に除去する」といった対策を実践してください。そして、いつから、どのような症状が、体のどの部分に出ているかをメモしておくと、診察の際に役立ちます。

 

Q3. 子犬や老犬でも花粉症になりますか?

はい、年齢に関係なく発症する可能性があります。特に子犬は免疫機能がまだ十分に発達していないため、また老犬は免疫力が低下しているため、注意が必要です。

 

Q4. 花粉症になりやすい犬種はいますか?

アトピー体質を持つ犬種は、花粉症を含むアレルギー性疾患を発症しやすい傾向があります。例えば、柴犬、フレンチブルドッグ、ゴールデン・レトリーバー、シーズーなどが挙げられます。

 

Q5. 家の中での花粉対策は、どんなことに気をつければいいですか?

空気清浄機の設置や、こまめな掃除機がけ、拭き掃除が有効です。また、花粉がつきやすい洗濯物は室内に干したり、花粉飛散の多い時期は換気を短時間で済ませたりする工夫も効果的です。

 

まとめ

 

犬の花粉症対策は、人間と同じく「花粉との接触を避ける」「体についた花粉を徹底的に除去する」ことが基本です。毎日の少しの工夫が、愛犬のつらいかゆみを和らげ、快適な毎日を送る手助けになります。

「もしかして?」と感じたら、まずはこの記事で紹介した対策を試してみてください。そして、症状が改善しない場合や、より正確な診断が必要な場合は、迷わず動物病院を受診しましょう。

 

 

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