獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
犬は見た目があまり変わらないので、シニア期に入っても「うちの子は幼いまま変わらない」と思っていませんか
しかし、どんなに元気であっても生きていれば徐々に老化はしていき、介護が必要なこともでてきます。
愛犬が幸せな老後を過ごすためにも、犬の介護について考えておきましょう。
今回は、食事や排泄のお世話、寝たきりのケア、歩行や散歩のサポートなど日常の介護についてお話したいと思います。
食事の介護
生きていくうえで欠かすことのできない食事。
老化とともに、サポートなしでは食べられなくなる場合も決して珍しくありません。
いざというときに慌てないためにも、老犬の食事について知っておきましょう。
■ 愛犬の状態に合わせて食事を選ぶ
犬も老化が進むと、噛む力や消化機能が衰えてきます。そのため、老犬にも無理なく食べられるものを選ぶことが求められます。
たとえば、噛まなくても食べられる小粒のフードにする、ドライフードをふやかす、半生タイプやウェットフードにするなどです。
また、ブレンダーやミキサーを使って、ウェットフードをさらに、ムース状、流動状にすると食べてもらいやすくなる場合もあります。
食べ物を飲み込むのが難しい場合は、シリンジを使い流動食を与えます。
犬歯の脇からシリンジを差し込み口の中に流し込みます。誤嚥を防ぐために、飲み込んだのを確認してから少しずつ入れるようにしましょう。
■ 楽な姿勢で食べられるようにする
脚付きの食器や食事台を使うなどして、頭を下げずに食べられるようにしましょう。
足腰が弱ってくると頭を下げた姿勢が辛くなるためです。
また、食道や胃よりも頭が低い位置にあると飲み込むのが大変になることもあります。
自分で立って食べることができない犬は、伏せの状態で食べさせます。
伏せの体勢も難しい場合は、誤嚥を防ぐために体の傾斜が10〜15度くらいになるように体を支えて与えます。
食後もしばらくはそのままの姿勢をキープしてください。
排泄の介護
足腰が弱ってくると排泄のときにふらつく、踏ん張れないといった様子が見られるようになります。
排泄の体勢が取れるように補助をしてあげましょう。
おしっこの際は、オスは股の間から手を入れて後ろ脚の太ももを支えて後ろ脚で踏ん張れるようにサポートします。
メスは太ももの付け根の辺りを外側から支えてください。うんちのときは、どちらもメスのおしっこのときと同じように支えます。
自力で排泄ができない、お漏らしをするといった場合は、おむつの使用を検討しましょう。
寝たきり・床ずれのサポート
寝たきりの場合に注意したいのが床ずれです。体の一部が圧迫され血流が悪くなることで起こります。
床ずれ予防のためには、こまめに姿勢を変える、やわらかい場所に寝かせるなどの方法が有効です。
定期的に寝返りを打たせるようにしましょう。犬用の床ずれ防止マットを使用するのもおすすめです。
また、排泄物で体が汚れると床ずれの原因になる場合がありますので、体を拭く、洗うなどして常に清潔に保ちましょう。
散歩と歩行のサポート
高齢犬だからといって散歩をしなくなると足腰の筋肉が減って寝たきりになってしまう可能性があります。高齢だからこそ、適度な運動を心がけましょう。
散歩の前は、少しだけ玄関で歩く、おもちゃで軽く遊ぶなどウォーミングアップをしてから出かけると体への負担を減らせます。
また、立ち上がれなくなった、足がおぼつかなくなったときこそ、寝たきりを防ぐためにも適度な運動が重要になります。
歩行補助用ハーネスなどの介護用品に頼るのも良いでしょう。
【まとめ】
今回は犬の介護について必要な準備や日常生活のサポートなどについてお話しました。
愛犬の老後はまだまだ先だから・・・と思っていても、愛犬の老いは確実にやってきます。
愛犬の老化が「ある日突然やってきた」と焦らないためにも準備を行い、 どのような老後を過ごしていくのか、しっかりとイメージしておくといいでしょう。
あなたと愛犬がお互いに快適に暮らせるよう無理のない範囲でサポートしてあげてください。