獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
あなたは、「犬のストレス」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?
ストレスによって問題行動を起こしたり、体調不良になってしまったりと犬の心身に悪影響を及ぼすといったマイナスなイメージを持たれるのではないでしょうか。
しかし、犬のストレスには良い刺激になるストレスと悪い刺激になるストレスがあります。
良い刺激になるストレスの中には人間とともに暮らしていくために慣れてもらう必要のあるストレスもあります。
では、慣らすべきストレスと避けるべきストレスにはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は、犬の「ストレス」をテーマにお話したいと思います。
犬のストレスとは?
ストレスと聞くと、悪いことのように思えるかもしれませんが、実は悪いことだけではありません。
ストレスは外部からの刺激に対して起きる緊張などの精神的・肉体的な反応のことです。
たとえば、愛犬を初めてのドッグランに連れて行ったとしましょう。初めての場所、見知らぬ犬や人に対して緊張し、固まったり、警戒したりするでしょう。これがストレスを感じている状態です。
しかし、このストレスを乗り越えさえすれば思い切り駆け回ったり、ほかの犬とじゃれ合ったりできるのですから、良い経験につながるストレスです。
人間社会で生きていくうえでは、ほかの犬や人に慣れておかなくてはなりません。むしろ、積極的に体験しておくべきストレスと言えるでしょう。
こういった慣れておくべきストレス(=良いストレス)を繰り返し経験することで、さまざまな環境に適応でき、より快適な日常生活を送れるようになります。
その反対に、体罰などの体験するメリットがないストレス(=悪いストレス)は避けるべきと言えます。
慣らすべきストレス
犬と人間がいっしょに暮らしていくうえでは、犬に慣れてもらわなければいけないストレスがあります。
たとえば、生活の中で受けるストレス、避けることが難しいストレス、愛犬のために必要なストレスなどです。
具体的には以下のようなストレスがあげられます。
● 被毛や歯、爪のお手入れ
● 家電の音、生活音(掃除機、ドライヤーなど)
● 雷、花火などの大きな音
● 動物病院の受診
● 公共の乗り物
● 留守番
避けるべきストレス
犬にとって避けるべきストレスは、暮らしていくうえで不要なストレスです。
我慢する必要のないこと、本能を無視したこと、健康を害する恐れがあることなどが該当します。
たとえば、以下のようなストレスです。
・空腹やのどの渇き
・高温、低温、多湿な環境
・体罰を与える
・過剰なスキンシップ
【まとめ】
人間とともに暮らす犬は、日常的になんらかのストレスを受けていると思われます。
ストレスと聞くと、悪いことのように思われますが、犬が快適に生きていくためには避けられないストレスもあります。
そのようなストレスには、無理のないように少しずつ慣らしていく必要があるでしょう。