獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
犬も高齢になれば認知症を発症する可能性があります。
そのときに慌てないためにも、事前に適切な対処法を知っておくことが大切です。
そこで今回は、症状別の介護方法と認知症の予防法についてまとめました。
認知症の犬の介護方法
犬の認知症の症状には、夜鳴きが酷くて眠れないなど飼い主さんを困らせてしまう行動もあります。
場合によっては生活に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
ここでは、犬の認知症で多く見られる困った行動への対処法を紹介します。
■ 夜鳴き・昼夜逆転
認知症の犬は、昼に寝て夜に活動的になる傾向があります。
昼夜逆転している状態ですので、体内時計を元に戻してあげる必要があります。
昼になるべく起きているように、いつもよりも長めに散歩する、ドッグランに連れて行く、いっしょにおもちゃで遊ぶなどの時間を増やすのがおすすめです。
適度に疲れて夜にぐっすりと眠るようになるでしょう。
それでも、改善が見られない場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
■ 徘徊行動
認知症の犬に多く見られる行動のひとつに、徘徊があります。
認知症になるとバックや方向転換ができなくなるため、家具の隙間など思いもよらない場所に入り込んで出られなくなる場合があるので要注意です。
愛犬が安全に徘徊できるように、なるべく隙間ができないように家具を配置する、隙間をふさぐなどの対策をしましょう。
また、愛犬の様子を見ていられない夜間や外出時などは、サークルに入ってもらうのが安全です。
■ ご飯を何度も食べたがる
認知症の犬は、ご飯を食べたことを忘れて何度も催促することがあります。
そのような場合は、我慢させるのではなく、ご飯の回数や時間を見直すことをおすすめします。
また、ほしがったときにドライフードを数粒あげるだけでも落ち着くことがあります。
ただし、1日の給与量は増やさないようにしっかりと管理しましょう。
与えすぎは肥満の原因になりますので注意してください。
■ 認知能力が低下してできないことが増える
認知症になると、物忘れが激しくなったり、理解力が低下したりします。
そのため、これまでは普通にできていたトイレを失敗したり、簡単な指示に従えなくなったりすることがあります。
犬の認知症において、認知能力の低下は避けることができません。
しかし、進行を遅くすることは可能です。知育玩具で遊ぶ、外に連れ出すなど脳に刺激を与えることが効果的だとされています。
犬の認知症の予防
認知症の予防には、脳への適切な刺激が重要になります。脳に良い刺激を与えることで、脳の老化スピードを遅くできるのです。
いっしょに遊ぶ、散歩に連れ出すなど、年齢に合った刺激を与えるようにしましょう。外気浴をするだけでも効果が期待できます。
また、DHA、EPA、ビタミンEなどの抗酸化作用や抗炎症作用のあるサプリメントも認知症の予防効果が期待されています。
【まとめ】
犬の認知症を100%予防する方法はありません。
しかし、適度な脳への刺激や、効果が期待されるサプリメントを摂取することで、発症を遅くできる可能性があります。
また、発症後も適切にお世話をすることで、愛犬もあなたも快適に暮らすことは可能です。
困ったときはひとりで抱え込まずに獣医師に相談しましょう。