獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
春から秋にかけてはマダニが活発になる時期です。
被害に遭いやすいのは散歩中の犬ですが、人にも感染する病気を媒介するため注意が必要です。
今回は、マダニに関連する病気のリスクや被害に遭わないための予防法などについて詳しくお話したいと思います。
マダニを放置するとどんなリスクがある?
マダニは貧血や皮膚病などの原因になるだけでなく、 さまざまなウイルス、細菌、原生動物を媒介して以下の感染症を引き起こします。
● 犬バベシア症
● ライム病
● Q熱
● 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
● 日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)
人にも感染する人畜共通の病気も多いため注意が必要です。
中でも重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニに咬まれた犬から飼い主に感染した事例も報告されています。
犬も人も有効な薬剤やワクチンがなく、人が感染した場合の死亡率は6.3〜30%と言われています。
また、日本紅斑熱もマダニが媒介する感染症で、動物での症状は不明ですが、人では少ないながらも死者が出ています。
マダニはこんな場所にいる
マダニは日本全国に10種類ほど生息しています。おもな生息場所は以下となります。
● 森や林
● 庭や畑
● 公園の植え込み
● 花壇
● 河川敷
● 草むら
マダニは基本的に緑があって湿り気のある環境に潜んで動物が来るのを待ち伏せています。
とくに注意が必要なのは、草木が茂っている場所と野生動物が多い場所です。
マダニが活発な時期は、犬を草むらに近づけないようにしましょう。
犬についたマダニの探し方
吸血前のマダニは成ダニでも3〜8mmほどと小さいので、簡単には見つけられません。
そのため、マダニが付着しやすい場所を重点的に探すのが効率的です。
マダニは被毛の薄い場所、皮膚が露出している場所、湿気がこもりやすい場所に付着することが多いです。
たとえば、以下の場所があげられます。
● 目のまわり
● 鼻のまわり
● 耳
● 胸から腹
● 内股
● お尻まわり
● 指のあいだ
探す際は、指の腹で皮膚をなぞるように触って、しこりや腫れ、出っ張りがないか探しましょう。
マダニの駆除方法
マダニを駆除するには、駆虫薬を使用する方法とマダニを取りのぞく方法があります。
吸血中のマダニを取りのぞくのは難しく、慣れていないと皮膚が裂けたり、アゴの一部が取れたりして残ってしまうかもしれませんので要注意です。
また、マダニはさまざまな病気の原因となる菌やウイルスを持っている可能性があり、取りのぞく際につぶしてしまうと体液から感染するリスクを否定できません。
どちらにしても、無理せずに動物病院を受診して処置してもらうのが安心でしょう。
マダニの予防法
もっとも効果的な予防法は、マダニの駆除薬を使う方法です。
駆除薬には、錠剤やおやつタイプのほか、スプレーや滴下する液体タイプなどがあります。1回の使用で1〜2か月ほど効果が持続します。
マダニだけでなく、ノミやフィラリアなどにも効果のあるものもありますので、状況に合わせて適切な駆除薬を処方してもらうと良いでしょう。
【まとめ】
マダニは愛犬にとっても飼い主さんにとっても危険な存在です。
血を吸うだけでなく、さまざまな病気を媒介して愛犬と飼い主さんの命を奪うことさえあります。
犬については駆除薬を使うほか、毎日のブラッシング、マダニが潜んでいそうな場所に近づかない、近づかせないのも有効な対策です。