獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
病気を媒介することもあるやっかいな寄生虫「ダニ」。愛犬にくっついているのを見つけてゾッとしたという飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
日本で確認されているダニは2000種類以上、マダニは10種類以上と言われています。
今回は、その中でも「マダニ」についてご紹介します。
マダニの感染経路と原因
マダニは草むらや薮などの草木が生えている場所に生息しています。山や公園はもちろんですが、道端でも感染の危険性があります。
特に雨上がりの道端の草むらでは、ダニに寄生されやすいようなので、お散歩コースにも注意が必要です。
また、人間の服や靴などにつけた状態で帰宅し、犬が感染するといったケースもあります。
活動時期は春から夏にかけてと言われていますが、1年中活動している種類もいますので、常に注意が必要です。
マダニの症状と媒介する病気
マダニに寄生されると、貧血や皮膚病などを発症したり、唾液に対してアレルギー反応を起こしたりすることがあります。
また、マダニはさまざまな感染症を媒介します。そのなかには、人畜共通感染症もあるため、人間も注意しなければいけません。
代表的な病気をいくつかご紹介します。
◆重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニに吸血され、SFTSウイルスに感染すると6〜14日の潜伏期間を経て発症します。人間に感染した場合は、おもに以下の症状がみられます。
● 発熱
● 消化器症状
● 血小板の減少
● 白血球の減少
致死率は6.3〜30%と高く、現在は根本的な治療法は確立されていません。
また、犬や猫への感染例も報告されています。
◆犬バベシア症
バベシニア原虫が犬の赤血球に寄生する感染症で、今のところ人間への感染は確認されていません。
感染すると以下のような症状が見られます。
● 貧血
● 発熱
● 食欲不振
● 黄疸
重症化すると死に至ることもあるため注意が必要です。
◆ライム病
ライム病ボレリアという細菌が原因の感染症です。人畜共通感染症なので、犬も人間も感染します。
感染した際のおもな症状は以下となります。
犬が感染した場合
- 神経症状
- 発熱
- 食欲不振
※犬の多くは感染しても症状が出ない不顕性感染(ふけんせいかんせん)です。
人間が感染した場合
- 遊走性紅斑
- 皮膚症状
- 関節炎
- 神経症状
マダニの駆除方法
吸血中のマダニを見つけたら自分で取らずに、動物病院で駆除してもらいましょう。
吸血中のマダニを無理に取ろうとすると、口の部分が皮膚に刺さったままになり、皮膚病の原因になります。
また、マダニを取ろうとして潰してしまうと、ウイルスや細菌に感染する可能性があり非常に危険です。
マダニの予防法
マダニもノミと同様に予防薬で予防できます。
予防薬にはおもに以下のタイプがあります。
● スポットタイプ(滴下タイプ)
● チュアブルタイプ(おやつタイプ)
スポットタイプのお薬が苦手な犬には、おやつ感覚であたえられるチュアブルタイプがおすすめです。
【まとめ】
ダニはさまざまな感染症を媒介します。愛犬とあなたの健康を守るためには、予防薬の投与が欠かせません。
また、もし愛犬の体にくっついている吸血中のダニを見つけたら、そのままの状態で動物病院を受診しましょう。