愛犬の健康と、暮らしを楽しむ「ドッグジャーナル」

健康管理

ストレスなくダイエットする4つの方法

監修者

獣医師

島田 真美

ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師

  • ダイエットは必要?
  • 犬の標準体型とは?
  • ダイエットする4つの方法

などについてご紹介していきます。

【そもそもどこからダイエットが必要?】


「うちの子はポチャッとしていた方が可愛いから肥満じゃない」
なんて、飼い主さんの都合で犬の体型を決めていませんか?犬にはかなりたくさんの種類がありますから、それぞれの犬種によって見た目も様々です。

自分の飼っている犬が、どのくらいの体型・体重であれば標準体型/太っていないのかをきちんと把握することは、とても大切です。

参考までに、日本でも人気の高いプードルで体重と体高を比較してみました。

体重体高
トイプードル~4kg位~28cm位
スタンダードプードル16~25kg位45~60cm位


このように、大きなくくりでは同じ種類でも、トイプードルやスタンダードプードルのように、大きさが全く異なる犬種もいます。また、同じ犬種でもメスとオスで大きさが異なる場合も多いです。

ご自分の飼っている犬の標準体型を調べる時は、種類と性別ごとの標準体型を調べることをおすすめします。


犬種によって理想体型があると言っても、我が家の愛犬は雑種で標準体重がわからない・・・という場合もあると思います。そこで、すべての犬種にあてはまる、BCSにのっとって標準体型かどうかを見極める方法をご紹介します。

BCS(ボディコンディションスコア)とは、見た目と触った感じで肥満度を5段階(あるいは、9段階)に分けて評価する基準のことです。この評価基準は犬と猫でも共通しています。

以下の項目を参考にして飼っている犬の体型を調べてみましょう。

▶ BCS1(痩せすぎ):
遠目でも肋骨や骨盤が目で見て浮き出ているのがわかる。上から見ると砂時計のような形にくびれがあり、触ると脂肪がないことがわかる状態。

▶ BCS2(痩せ):
見た目では肋骨が少し浮き出ている。わずかな脂肪で覆われているが、触ると簡単に肋骨がわかる状態。

▶ BCS3(標準):
全体的に適度に脂肪に覆われていて、肋骨に触れることができる。横から見るとウエストにかけてゆるやかなカーブが見える状態。理想的な体型です。

▶ BCS4(やや肥満):
余分な脂肪に覆われていて、肋骨は触ると分かるものの、目では確認できない。上から見るとくびれは多少あり、横から見ると若干腹部が垂れ下がっている。

▶ BCS5(肥満):
厚い脂肪に覆われており、見た目だけでなく触っても肋骨がわからない状態。上から見るとくびれはなく、横から見ると腹部が垂れ下がっている。


肥満による影響には以下のようなものがあります。

▶ 寿命が縮まる
▶ 関節炎の悪化、膝の問題や椎間板ヘルニア
▶ 心臓や呼吸器への負担
▶ 熱中症のリスクが高まる
▶ 麻酔にかかりにくく醒めにくい
▶ 皮膚病,糖尿病になりやすい


犬も人間と同じように、体重の増加(肥満)は体に負担がかかりますし、病気になるリスクが高まります。

また、犬の特徴によっても、現れやすい症状は様々です。例えばチワワなどの華奢で骨の細い犬種は、体重増加に体が対応しきれず関節炎や膝に異常が出る可能性が高まりますし、ブルドックやパグなどの鼻が低い犬種は、顔周りや首に脂肪がつくことで呼吸がし難くなります。(←体温を下げるためのパンティングもし難くなり、熱中症のリスクが高まります。)

太ることによって犬は動くことが億劫になります。散歩や運動を拒否するようになると、更に肥満は悪化していきます。そうならないためにも、日ごろから犬の適正体重・体型をきちんと把握して、飼い主さんが太らないようにコントロールしてあげることが大切です。

【太りやすい犬種ってあるの?】


犬が暮らしてきた社会的環境や育種選抜による遺伝的要因などが関連して、太りやすい犬種というものができてきたようです。ダックスフンド、ビーグル、シェットランドシープドッグ、ラブラドルレトリバーなどは太りやすい犬種のようです。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や甲状腺機能低下症などの病気があり、それによって肥満が起こる2次性肥満というものがあり、治療法や対処法も違ってきますので、原発性肥満(単純性肥満)と鑑別することも大切です。

肥満になる一番の要因は、食べ過ぎと運動不足です。摂取するエネルギーに対して消費するエネルギーが少なければ、脂肪として貯蔵されるエネルギーが増え肥満になるのです。

また、避妊手術を行うとホルモン(エストロゲンやアンドロゲン)の低下・消失で代謝率が低下し太りやすくなる傾向があります。避妊手術を終えたら給与エネルギー量を減らした食事を与えることで、肥満予防に役立ちます。

フードを変更すると食べなくなってしまう場合もあるため、子犬のころからたまに味やメーカーを変えて、いつもと違うフードを食べることに慣らしておくのもいいでしょう。

【犬のダイエットの方法4つ】


飼っている犬がよく食べるからと言って、子犬のころからずっと同じフードを与え続けるのはおすすめしません。なぜなら、成長期の子犬にとっては必要なエネルギー量だったとしても、成犬には高エネルギーになる場合が多いからです。

フードとしては、満足感がありなおかつエネルギー密度の低いもの(同じ給与量でもカロリーが低いフード)が良いでしょう。多くの場合、低脂肪で、食物繊維が増量されています。

ダイエットで最も大事なことは、その子の理想体重から必要エネルギー量を算出することです。現体重での必要エネルギー量ではなく、理想体重での必要エネルギー量というところが大切なのです。エネルギー量の算出についてはかかりつけの獣医師に聞くと良いでしょう。
あるいは、フードの袋に体重ごとの給与量の目安が書いてあるので、そこから給与量を把握します。肥満していると代謝が低下している場合もあるので、理想体重での給与量よりもやや少なめに設定して与えるようにします。減量は、1週間に体重の1~3%減らせるようにします。
フードを変える時は、1週間ぐらいかけて旧フードと新フードの給与割合を変えて、徐々に変更していきます。

フードに野菜を加えて、嵩を増す方法では、エネルギー摂取量を減らすことができても、ミネラルやビタミンのバランスが崩れてしまう危険性があります。フードを希釈する方法よりも、ワンちゃんがおいしく満足して食べられて、栄養バランスも整ったダイエット用のフードを給与するようにしましょう


人間のダイエットと同じように、犬も食事回数を増やすことはとても有効です。

一日2回与えていた量のフードを3回に分けると、犬も多くフードをもらった気持ちになりますし、おやつの回数を減らすことができます。さらに、エネルギーのため込みを減らすこともできます。(←急激な血糖値の上昇を避けインスリンの分泌を低く抑えられるためです)手軽にできる方法ですので是非試してみてください。


犬は褒められることに喜びを感じられる生き物です。

お手やお座りなどの芸をつけるときや、しつけをするときのご褒美におやつを与えていませんか?もしそうだとしたら、今日からはおやつはやめて、思いっきり「オーバーリアクション」で褒めてみてください。犬は自分のした行動で飼い主さんが喜んでくれると理解すると、おやつをあげるよりも効果的にしつけができることもあります。

それでもどうしてもおやつをあげたいときは、一日に給与する食事の一部をおやつ用として取り分けて、与える方法もあります。この方法であれば、エネルギー給与量がプラスになりません(ため込むエネルギーが増えません)。


犬も健康のために運動は欠かせません。体にため込むエネルギーを減らす方法は、摂取量を減らす方法のほかに消費量を増やす方法があります。運動することによって、消費するエネルギー量が増えます。また、脂肪量が減ることで、エネルギーを貯蔵しやすい体質を変えることができます。

肥満で運動が嫌いになる前に、日々の散歩を少し長めにしてみる(中型犬であれば、一日20分を2回、途中休まずに行う方法がおすすめです)。

犬と散歩することは、飼い主さんの健康維持にもつながります。
家で定期的にボール遊びをするなどして運動をさせましょう。

最近は、犬専用のフィットネスジムやプールもあります。水泳は関節に負荷がかからずできる運動なので、太ってしまった犬にもおすすめです。試してみてはいかがでしょうか?

【ダイエット成功のための飼い主の心構え】


犬のダイエットが成功するか失敗するかは、飼い主さんにかかっています。

フードを減らすのはかわいそう、嫌いな運動をさせるのはかわいそう・・・などと言う考えはすぐに捨てましょう。「不健康に育ててしまうことが一番可哀そうなことだ」という意識をもって、どんなふうにしたら犬が楽しめるかを考えながら、時には厳しく、ダイエットをするように心がけましょう。

【まとめ】


いかがでしたか?大切な家族の一員の愛犬にはできるだけ長生きしてほしいですよね。

今回の記事では、

▶ 標準体型をきちんと把握する
▶ 肥満になると病気のリスクが高まる
▶ 犬のダイエットは食事内容や給与量を工夫する


ということがわかりましたね。今日から実践できる手軽なダイエットもあったと思うので、ぜひ実践してみてください。

肥満になってからダイエットするのは、結構大変なことですので、日頃から、犬の必要なエネルギー量・給与量を把握すること、犬の生活様式や年齢に合わせたフードを選択すること、適度な運動を心掛けることで、太らせないようにすることが大切です。特に成長期の肥満は、脂肪細胞の数も増えるため、大人になってから脂肪細胞が大きくなるだけの肥満よりも、減量が難しくなりますし、大型犬では、骨の変形など整形外科疾患になるリスクが高まります。


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