獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
大切な家族の一員のワンちゃんは、いつまでもかわいい子供のように思えますよね。ですが、ワンちゃんと過ごす時間が長くなるほど、当然、犬も歳をとっていきます。シニア犬になってきて、若かった頃よりも活発さがなくなり、ごはんも前よりも欲しがらなくなると、不安になりませんか?
そこで今回は、
前編:シニア犬の健康を維持するためのフードを選ぶポイント
後編:フードの与え方で気を付けたいポイント
と2回に分けて詳しく紹介していきます。
この記事を最後まで読んで、実践していただければ、ワンちゃんが健康で長生きしてもらえるヒントが得られるはずです。
そもそもシニア犬とは?
シニア犬と聞いてあなたは何歳ぐらいからとイメージしていますか?
犬は人間の7倍ほどの速さで歳を取ると言われています。
およそ1歳で成犬になり、犬の大きさや種類、個体差もありますが6歳ぐらいで人間の40~50代に相当します。
ですが、何歳からシニア犬かという明確な決まりはなく、個体差にもよりますので7~8歳になったら人間でいうところの生活習慣病が気になり始める年齢と認識して、日々のケアを考えてあげると良いでしょう。
◆シニアになると現れる老化のサイン
どんなに元気なワンちゃんでも年齢を重ねるにつれ、さまざまな体の変化が出てきます。
あなたのワンちゃんはいくつ当てはまりますか?
▶ 体毛の色に関わらず顔や体に白髪(白い毛)が出てくる
▶ 目が見えにくくなる、耳が遠くなる
▶ 嗅覚や味覚が低下してくる、食べ物を食べにくくなってくる
▶ 足腰の関節が弱くなり、若い頃の散歩ルートを歩けなくなる・嫌がるようになる
▶ 筋肉量が減り、運動量や新陳代謝が低下して、太りやすくなる
上記のようなことが思い当たったら、少しずつシニア期に近づいてきているかもしれません。
シニア犬の健康を維持するためのフード
シニア期に入ると筋肉量が低下し、皮下脂肪が増えてきます。
若いころに比べて必要エネルギー量が10%以上減少するため、同じエネルギー量の食事を与えていると太りやすくなってしまいます。
体調に変化がなく健康であれば今までのフードを与えても良いですが、老化のサインが現れ出したらシニア犬に対応したフードに徐々に切り替えていってあげるようにしましょう。
ではどんなシニア犬に対応したフードを選べば良いのでしょうか。
◆シニア犬に対応したフードを選ぶポイント
シニア犬に対応したフードは大きく分けて3つのポイントがあります。
ポイント
- 良質で消化の良いタンパク質が入っているかどうか
- 低脂肪などの体重増加に配慮されているかどうか
- 足腰などのための機能性成分が含まれているかどうか
1.良質で消化の良いタンパク質
シニア犬になってくると筋肉量が低下しますので、タンパク質は必要ですが、高タンパク質であれば良いとうわけではありません。
過剰なタンパク質は内臓に負担がかかりますので、質が良く消化の良いタンパク質を与えましょう。
(質の良いタンパク質については、こちら↓の記事も参考にしてみてください。)
2.体重増加に配慮した低脂肪フード
シニア犬になってくると「代謝の低下」「運動量が減る」ことにより太りやすくなります。
よく食べるからと成犬と同じフード・量を食べていると肥満になってしまいますので、体重増加に配慮されている低脂肪のフードを選んで与えましょう。
3.足腰などのための機能性成分
シニア犬になってくると足腰の関節機能の衰えや皮膚トラブルなどが起こりやすくなります。
これらのトラブルを改善するための機能性成分が入ったフード、または犬用のサプリメントを与えると良いでしょう。
足腰の健康を保つために摂ると良い栄養素
- コラーゲン
- グルコサミン
- コンドロイチン硫酸
皮膚トラブルを改善する栄養素
- オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)
※オメガ3脂肪酸は皮膚トラブルだけでなく、脳神経の健康維持、炎症の緩和、免疫力の維持にも役立ちます。
【まとめ】
年齢に加え、老化のサインが現れ始めたらシニア犬に近づいていると考え、「良質で消化の良いタンパク質・低脂肪・機能性成分」の3つのポイントが含まれるシニア犬に対応した総合栄養食フードへ切り替えると良いでしょう。
足腰の健康や皮膚トラブルに対応した機能性成分を配合していないフードの場合は、犬用のサプリメントで補ってあげると良いと思います。
今回のお話しはここまでです。後編では、「フードの与え方で気を付けたいポイント」についてご紹介いたします。