獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
ドッグフードや犬猫用おやつの原材料をみると「ミックストコフェロール」という成分が入っているのを見かけたことはありませんか。ミックストコフェロールはどんなものなのでしょうか。
ここではミックストコフェロールの特徴や摂取の注意点、他の酸化防止剤について解説します。
ミックストコフェロールとは?
天然のビタミンEには、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類があり、これらが混合されたものがミックストコフェロールです。植物性油脂、小麦胚芽、ナッツ類、緑黄色野菜などに多く含まれる成分です。酸化防止剤としても使用されています。
酸化防止剤とは?
酸化防止剤とは多くのドッグフードやキャットフードなどに含まれている成分です。脂質の酸化を防止するために使われています。酸化してしまうと味が落ちるだけでなく、口にしたペットが体調を崩してしまうこともあります。
そのため、酸化をできるだけ遅らせるために使用されます。
ミックストコフェロールの特徴や摂取の注意点とは?
ミックストコフェロールにはどんな特徴があり、摂取する時には注意することはあるのでしょうか。ここではミックストコフェロールの特徴や摂取の注意点について解説します。
1)特徴
ミックストコフェロールは数種類のトコフェロールを混ぜて作られており天然の酸化防止剤です。
比較的安全ですが、合成酸化防止剤より効果は少し弱め(安定しない)となっています。そのため、賞味期限が少し短めに設定されていることが多いです。
魚油など酸化しやすい成分を多く含むペットフードでは使用量が増えます。開封後は、できるだけ1ヶ月以内には食べきることが大切です。
2)摂取の注意点
脂溶性ビタミンのA、D と比較すると過剰症は出にくい脂溶性ビタミンですが、ミックストコフェロールは過剰摂取してはいけません。
ビタミンEは脂溶性ビタミンなため、油に溶けて吸収されます。過剰に摂取してしまうと脂肪にたまるだけでなく他のビタミンの吸収を妨げてしまうことがあります(サプリメント等として使用する際には注意が必要です)。
その他酸化防止剤について
ここではその他の酸化防止剤について解説します。
1)BHA
BHAはブチルヒドロキシアニソールとも呼ばれる成分で、指定添加物です。合成添加物で発がん性(前胃をもつ動物の前胃・・・犬や猫には前胃はありません)を心配する声もあるようです。ただ、ペットフード安全法での使用基準も決まっているため危険性は低いです。
2)BHT
BHTはブチルヒドロキシトルエンとも呼ばれる成分です。指定添加物となっており、合成添加物です。BHAと同様使用基準が定められています。
3)アスコルビン酸ナトリウム
食品添加物のビタミンCです。化学合成品で指定添加物ですが使用制限は定められていません。
4)エトキシキン
主に家畜の飼料添加物をして使用を認められている酸化防止剤です。ペットフードに使用する場合使用基準が定められています。
5)ローズマリー抽出物
ローズマリーの葉から抽出された天然の酸化防止剤です。この抽出物が酸化防止剤として使用されているフードも大分増えてきました。
6)茶抽出物
茶から抽出された天然の酸化防止剤です。
【まとめ】
ここではミックストコフェロールの特徴や摂取の注意点、他の酸化防止剤について解説しました。
ミックストコフェロールは天然成分の酸化防止剤で比較的安全な成分です。
酸化防止剤には色んな種類がありますが、迷った時(天然の酸化防止剤を選びたいとき)は、「ミックストコフェロール」や「ローズマリー抽出物」、「茶抽出物」が使用されているものを選ぶといいかもしれません。
ただ賞味期限が少し短いことは忘れないようにしましょう。