獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
前編では、シニア犬の健康を維持するためのフードを選ぶポイントについてお伝えしました。
後編では、フードの与え方で気を付けたいポイントについてお伝えします。
食事の回数を工夫する・水分量に気をつける
シニア犬になると消化機能が低下して、消化・吸収不良を起こしてしまうこともあります。
一日に2回ごはんをあげている場合、胃腸の負担が多くて、一度の食事量を消化しきれなくなってしまう可能性もあるので、一日3回、4回と食べきれる量に小分けにする、などの工夫をしてみましょう。
また、人間と同じように、シニア犬は喉が渇いた、暑いなどを感じる機能もだんだんと低下していきます。あまりお水を飲んでいないようでしたら、フードを少しお湯でふやかしてあげたり、フードの上に犬用スープをかけてあげたり、ドライフードからウェットタイプフードに徐々に切り替えてみるなど水分を取るお手伝いをしてあげましょう。
また、お水を入れる容器をプラスティックから陶器に変えてみる、水をぬるま湯にしてみる、鶏ささみスープなどを足して風味付けをして飲んでもらう工夫をしてみましょう。
食べさせ方を工夫する
◆食欲がある子の食べさせ方
食欲があるのは飼い主さんにとってはとても嬉しいことですが、たくさん食べてくれるからとフードをあげすぎてしまうと、太りやすいシニア犬にとっては病気のリスクを高めることになりかねません。
フードをシニア犬に対応した低脂肪のものに変える、おやつのジャーキーをやめて、一日に与えるフードの一部を間食用として分けておいておやつとしてあげてみるのもお薦めです。
◆食欲が落ちてきた子の食べさせ方
食欲が落ちてきた子の場合、食べにくさが原因であることも多いです。
<フードの高さを調整する>
シニア犬は若いころと比べて足腰が弱くなり体が硬くなるため、頭を下げてかがむ姿勢がつらくなってしまい食欲が落ちてしまうことがあります。
首や足腰に負担のかからないように器の位置を肩ほどの高さに調節してあげてみると、ワンちゃんにとって食べやすくなります。
<フードをやわらかくする>
あごの力が弱くなるとドライフードが食べにくいと感じている可能性もありますので、ウェットフードに変えてあげるのも一つの手です。
食事と連動して、口腔内を清潔に保つためにも歯磨きもしてあげてください。
食欲がないと病気なのかな・・・?と心配になってしまいますよね。まずは色々と工夫してみて、それでも全く食べてくれない場合は、病気の可能性もあるので獣医師さんに相談してみてください。
【まとめ】
いかがでしたか?飼い主にとって大事なワンちゃんは、いつまでも子犬のようなとてもかわいい存在ですよね。
でも、犬は一緒にいた年数の分だけ、確実に歳をとっていきます。大切なワンちゃんとの思い出が多くなればなるほど、できるだけ長生きして欲しい、もっと一緒にいたいと願うのは家族として当然のことです。
前編後編を通して、シニア犬が健康でいられるような食事で気を付けるポイントをご紹介しました。
▶「良質で高消化性のタンパク質・低脂肪」のシニア犬に対応したフードへ切り替える
▶フードで補えない機能性成分などは、サプリメントを利用してみる(獣医師に相談することも大切)
▶食事の回数を変えてみる
▶食べた食事の量や飲んだ水の量を常に把握するようにする
▶食欲がない場合は、器の高さや、フードの柔らかさやフードのタイプを変えてみる。
このようなことを参考にして、それぞれの子に合わせた食事の内容に変えてあげてみてください。