獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
犬が頻繁にくしゃみをしていたり、咳が出ていたり、鼻水を出していると「もしかして風邪?」と心配になりますよね。
「そもそも犬は風邪をひくの?」「風邪をひくのであればどういった症状なの?」など、疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は犬の風邪について、
前編:犬の風邪の原因と症状
後編:犬の風邪の予防法や治療法
と2回に分けて詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
犬は風邪をひく?
そもそも「風邪」とは何なのでしょうか。
風邪は、病名ではなく症候名(症状を表す名前)です。上部気道(鼻やのどなど)にウイルスが侵入して生じる炎症を「風邪」といいます。
犬が風邪の症状を示していたとしても、風邪は症候名なので、カルテには病名がわかる場合は正式な病名が書かれます。
ただし、獣医師によっては、飼い主さんへの説明では、わかりやすくするために「風邪」という用語を使う場合もあります。
犬は寒いと風邪をひく?風邪の原因について
犬の風邪も人間とおなじく、ウイルスや細菌などの病原体に感染したことで風邪をひきます。
とくに、子犬や老犬、基礎疾患のある犬など免疫力が弱い・落ちている犬の場合は症状が強く出ることがあります。
また「犬は寒さで風邪をひくのか?」という疑問が多いようなのですが、厳密には「寒さで体が冷えることによって免疫力が下がり、ウイルスに感染しやすくなる」です。
これも、子犬老犬、基礎疾患のある子はとくに気をつけなければいけません。冷えると持病が悪化する恐れもあるので、温度管理には気をつけなければいけません。
犬の風邪の症状について
犬の風邪は、人間と同じく「咳」「くしゃみ」「鼻水」のような症状が現れます。
それぞれの症状についてみていきましょう。
◆犬の風邪の症状「咳」
犬の風邪の症状で見られるのが咳です。
非常に感染力の強い犬伝染性気管気管支炎いわゆる「ケンネルコフ」では、非常には激しい乾いた咳をします。
犬が風邪の症状で病院を受診した場合に多く見られるのが、「ケンネルコフ」です。
ケンネルコフは、ペットショップやブリーダーの犬舎、ペットホテルなど犬がたくさん集まる場所で感染する事が多い感染症のひとつです。
犬の咳は人間の咳のような「コンコン」「ゲホゲホ」とは違い、どちらかというとのどに何か物がつかえたような「ゲッー」「ウェッ」というような感じなので、なかなか飼い主さんも気付きにくいため、発見が遅れることも多いようです。
◆犬の風邪の症状「くしゃみ・鼻水」
犬の風邪の症状で、くしゃみや鼻水が出ることがあります。
中でも、鼻腔に細菌感染がある場合、粘り気がある鼻水が出たり膿のような鼻水が出ることもあります。
◆犬の風邪の症状「目やに」
犬の場合はあまり多くありませんが、目やにの量が増える症状が出る事があります。
目やにの量が多くて、まぶたがくっついてしまい目が開けにくいような状態になることもあります。
◆犬の風邪の症状「発熱」
犬の平熱は38度と高いですが、熱が出ると39~40度になることがあります。
犬の体温はおしりの穴に体温計を入れて図りますが「自分でするのが怖い」という方もいらっしゃいます。
そのような場合は、耳を触ってみましょう。
熱があると熱くなるので、普段スキンシップをたくさんしていれば、気付きやすいかと思います。
また、熱が出ると食欲や元気が減退することもあります。
【まとめ】
犬の風邪の症状は人間に似ている部分もあります。
ただし、それぞれの症状は風邪以外の病気でも現れる症状なので、一概に風邪とはいえません。
飼い主さんの判断で「風邪」だと思い、放っておくと危険ですので、必ず動物病院に受診するようにしましょうね!
前編はここまでです。後編では「犬の風邪の予防方法や治療法」についてご紹介しているので、ぜひ見てみてくださいね!