獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
犬も年齢を重ねることで目の機能が低下し、視力が衰えていきます。
「最近、暗いところを嫌がるようになり、固まってしまったり、立ち止まってしまったりする。」
「ちょっとした段差を降りられなくなった。 」
など、ふとしたタイミングで視力が衰えていることに気がついたとき、愛犬のためにできることはあるのでしょうか。
今回は、愛犬の視力が落ちないように予防する方法、視力が落ちてしまったときにどのようにサポートしてあげればいいかを詳しくお話します。
犬の視力低下の予防法
愛犬の視力を守るには、視力が落ちたときにあらわれるサインを見逃さないことです。
そのためには、日ごろから愛犬の様子をよく観察して、以前と違ったところがないかチェックすることを習慣づけましょう。
定期的な健康診断はもちろん、気になることがあれば獣医師に相談してください。
また、老化に対しては目の筋肉を動かす遊びがおすすめです。おもちゃなどの動きを目で追うことで目の筋肉の運動になり、機能の衰えを抑えられます。
そのほか、抗酸化成分やポリフェノールなどの目に良いとされる成分を配合したフードやサプリメントの活用も検討しましょう。
視力が衰えた犬のためにできること
視力が落ちて目が見えづらくなると、生活するうえでさまざまな問題が生じます。
ここでは、視力が衰えた犬ができるだけそれまでと同じように快適に暮らせるように、飼い主さんにしていただきたいことを紹介します。
1. 室内環境を整える
犬は物の位置などを覚えているため、目が見えづらい分を記憶でカバーします。
ですから、食器を置く場所やトイレなどを含め、住み慣れた室内をできるだけ変えないようにしましょう。
物の位置が変わるとぶつかったり、つまずいたりしやすくなるため、大掛かりな模様替えは避け、床には障害となる物を置かないようにしてください。
また、ぶつかりやすい場所にはクッション材を取り付けるなど、犬が安全に家の中を動きまわれるようにしてあげましょう。
2. 急に触らない・大きな音を出さない
視力が低下すると飼い主さんがどこにいるかつかみづらくなります。
急に視界に入ったり触ったりするとびっくりしてしまいます。
ゆっくりとした動作を心がけ、名前を呼んだり言葉をかけたりしながらそっと触るようにしましょう。
また、視力が低下すると音に対して敏感になります。驚かせたり怖がらせたりしないよう、大きな声や物音を出さないように注意してください。
3. 散歩は明るい時間におこなう
視力が落ちると暗い場所ほど見えづらくなります。
散歩は朝夕の薄暗い時間帯や夜間を避け、昼間の明るい時間帯に出かけるようにしましょう。
慣れた散歩道であってもぶつかったりつまずいたりする可能性が高いので、リードは短めに持ってなるべく飼い主さんのそばを歩かせるようにします。
また、障害物や段差のある場所は通らないようにするか、抱き上げるようにしてください。
【まとめ】
老化による衰えや目の病気を完全に予防するのはむずかしいですが、発症の時期や症状の進行を遅らせることは可能です。
早い段階で気づいてあげられれば、その分だけ「見える時間」を長くできます。
愛犬がいつまでも快適に過ごせるようにするためにも、定期的に健康診断を受け、気になることがあれば獣医師に相談しましょう。