獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
あなたの愛犬はどんな時でも「くっつきたい派」ですか?
それとも「ほどほどの距離がいい派」ですか?
犬によって性格はさまざまなので、甘えん坊な性格の犬もいれば、クールな犬もいます。
しかし、常に飼い主さんにべったり離れない、一緒にいないと不安そうにするという場合は「分離不安」になっているかもしれません。
犬の分離不安は、飼い主さんと離れる不安や恐怖からさまざまな問題を引き起こします。
寂しがり屋だから、甘えん坊だからと、放置すると深刻な問題に発展してしまうこともあります。
犬の分離不安の症状や原因を知り適切な対処につなげられるようになりましょう。
犬の分離不安とは?
分離不安は「分離不安症」または「分離不安障害」と呼ばれる不安障害のひとつです。
飼い主さんなどの信頼できる人と離れて過ごすことで、強い不安や恐怖を感じてしまう状態です。
症状がひどくなると、少しでも姿が見えなくなっただけで鳴きつづけたり、留守中に部屋のなかを荒らしたりといった問題行動に発展してしまうケースも少なくありません。
犬の分離不安の症状
分離不安を抱えている犬は以下のような行動をするようになります。
◆外出の準備中や留守番中に大きな声で鳴きつづける
◆室内や物を破壊する
◆トイレを失敗する
◆下痢や嘔吐、食欲不振
◆自傷行為をする
◆外出の準備をはじめると落ち着きがなくなる
◆飼い主さんのあとをついてまわる
◆帰宅時にうれしょんをする
分離不安は犬にとって、肉体的にも身体的にも大きなストレスになります。体調を崩したり、問題行動を起こしたりする原因にもなります。
もし、愛犬にこのような行動が見られるようになったら、早めに動物病院を受診し相談するようにしましょう。
犬が分離不安になる原因
犬の分離不安の原因には、大きく分けて精神的なものと病気や身体的なものがあります。
◆生活環境の変化
◆過去の恐怖体験
◆飼い主さんへの強い依存
◆病気による痛みや不安
◆加齢による体の衰えからの不安
引っ越しやペットが増えた、留守番が増えたなどの生活環境の変化や、花火などの大きな音、地震などの恐怖体験といった精神的なことが大きなストレスとなり分離不安の原因になります。
また、飼い主さんに依存している犬も分離不安になりやすいと言われています。常に飼い主さんにべったりの甘えん坊な犬は、とくに注意が必要です。
身体的な問題としては、神経疾患、脳腫瘍などの脳の病気や、加齢により耳や視力が衰えたことによる不安が分離不安の引き金になることもあります。
分離不安になりやすい犬種
分離不安になるかどうかは、育成歴や病気、性格にも左右されます。そのため犬種だけで判断するのは難しいようです。
その一方で、以下の犬種は分離不安になりやすいという報告もあります。
◆トイ・プードル
◆ポメラニアン
◆ミニチュア・ダックスフンド
◆ミニチュア・シュナウザー
これらの犬種で、分離不安と思われる行動が見られたら早めに獣医師に相談することをおすすめします。
【まとめ】
犬の分離不安は、物を破壊する、トイレを失敗する、自傷行為をするなどの問題行動を引き起こすことがあります。
愛犬も辛いですが、飼い主さんにとっても辛いことだと思います。
分離不安は早期発見で酷くなるまえに対処することで、問題行動を最小限に抑えられます。そのためには、症状と原因について知っておく必要があるのです。
もし、疑わしいと感じた場合は、犬の問題行動に詳しい獣医師に相談すると良いでしょう。