獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
愛犬がぽっちゃりしているとかわいらしく見えるかもしれませんが、 その可愛さの裏には、糖尿病や癌など、さまざまな病気のリスクが潜んでいます。
愛犬に健康で長生きしてもらうためには、太らせないことがなによりも大切です。
そこで今回は、犬が太ってしまう5つの原因と、その対策についてお話したいと思います。
1.食べ過ぎ・高カロリーな食事
人間と同じく犬も食べ過ぎや高カロリーな食事は太る原因になります。
パッケージに記載されている給与量は、あくまでも目安です。
適切な量は運動量、代謝、避妊・去勢の有無にもよりますし、なによりも個体差があります。愛犬の様子を見ながら量を調整してあげましょう。
また、おやつの与えすぎも太る原因になります。
おやつは、1日の摂取カロリーの10%程度に抑えるようにし、その分食事を減らすのを忘れないようにしましょう。
1日分の食事とおやつを密閉容器などに取り分けておくと、あげすぎを防止できます。
2.運動不足
しっかりと食べているのに、運動しないという状態がつづけば、太る原因になるのは当然です。
犬は人間よりも多くの運動を必要とします。
「小型犬は散歩が不要だ」という意見も聞かれますが、実際にはどんなサイズの犬でも散歩は必要です。
室内だけで十分な運動量を確保するのは難しいため、外での散歩が欠かせないのです。
散歩の目安は、小型犬・中型犬なら30分ほど、大型犬なら30〜60分ほどの散歩を1日2回行うのが理想です。
3.避妊・去勢手術
犬は避妊・去勢手術をおこなうとホルモンのバランスが変化して、基礎代謝が低下したり食欲が増したりするため、太りやすい状態になります。
避妊・去勢手術のあとにもそれまでと同じ食事をつづけていると、気づいたときには肥満になっていた、なんていうことにもなりかねません。
避妊・去勢手術の後は、避妊・去勢をした犬向けまたは、低カロリーのフードへの切り替えを検討する必要があります。
これまでと同じ食事を与える場合は、給与量の見直しが必要になります。
4.年齢
犬も人間と同じく、加齢とともに代謝が低下していきます。
そのため、若い頃と同じ食事をつづけていると、あっという間に太ってしまうでしょう。
犬のシニア期は7歳からと言われています。7歳をすぎたらシニア用のドッグフードへ変更することが推奨されています。
オールステージ用のドッグフードを与えている場合は、給与量の見直しをおこないましょう。
5.病気
もし、なにも心当たりがないにもかかわらず、愛犬が急に太り出したら病気の可能性が疑われます。
たとえば、以下のような病気が考えられるでしょう。
▶ 甲状腺機能低下症
▶ 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
▶ 循環器障害
▶ 肝臓疾患
急に太ったこと以外にも、元気がない、食欲が落ちた、吐いているなど、いつもと違う様子が見られたら注意が必要です。
命にかかわる病気の可能性もあるため、必ず動物病院を受診してください。
【まとめ】
犬が太る原因は、単純に言うと摂取カロリーが消費カロリーを上回っているからです。
太ってきたなと思ったら、給与量や運動量の見直しを検討しましょう。
また、ダイエットが必要なときや病気が疑われるときは、早めに獣医師に相談することをおすすめします。