獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
本格的な寒さを前に、犬の体も冬準備をします。
そのひとつが、脂肪を蓄えることです。
しかしその一方で、室内で暮らしている犬にとっては、太り過ぎになってしまうという問題も。
なぜ、太り過ぎになってしまうのでしょうか?その理由と問題点についてお話します。
冬太りとは
犬の体は、寒くなると体温を維持するために熱を生み出そうとします。
そのエネルギー源となるのが脂肪です。寒さに負けないように脂肪を燃やして体を温めているのです。
冬の寒さを乗り切るには、秋から冬にかけてたくさん食べてしっかりと脂肪を蓄えておかなくてはいけません。
つまり、秋冬に食欲が増して体重が増えるのは犬の体にとってはごく自然な冬支度であり、この生理現象が「冬太り」と呼ばれているのです。
冬太りの問題点
秋冬に蓄えた脂肪を冬のあいだに燃やしきるのが、犬の体にとっては自然なサイクルです。
冬に太っても春に痩せて元に戻るレベルであればとくに心配はいりません。
しかし、自然な冬太りの範囲を超えて過剰に太ったり、太ったまま痩せないとなると問題です。
太って体が重くなると動きが鈍くなってしまうため、犬は運動を避けるようになります。
運動量が減れば筋肉も落ちてエネルギー消費が少なくなり、ますます太りやすい体になるのです。
冬太りは生理現象だからと油断しているうちに、慢性的な肥満状態にもなりかねません。
犬が慢性的な肥満状態になると、心臓病や糖尿病、尿路結石、関節炎などの病気のリスクが高くなるため注意が必要なのです。
過度の冬太りになりやすい理由
室内飼育の犬の場合、冬でも暖房が効いた家の中で過ごすことになります。
寒さに耐えなくてもよければ、体温を維持するためにエネルギーを使う必要がありません。そのため、蓄えた脂肪が残ってしまいます。
また、冬は寒いうえに日照時間も短くなります。散歩に出る頻度も落ちやすくなりますし、散歩の時間も短くなりがちです。
とくにシングルコートの犬や、体温調節が上手くない子犬や老犬などは、寒くなると散歩を嫌がることも。
その結果、運動量が減ってエネルギー消費も減り、消費できずに残る脂肪だけが増えてしまうのです。
さらに、クリスマスや年末年始となれば、犬にもご馳走やご褒美をあげる機会も増えてしまいます。
春までに痩せれば…などと甘く考えず、しっかりと体重管理をしましょう。
【まとめ】
犬は、秋から冬にかけて食欲が増し、寒い冬を乗り切るエネルギー源として脂肪を蓄えます。
生理現象としての冬太りを超えて肥満状態になってしまうと、愛犬の健康にも悪影響が出かねません。
太りやすい冬だからこそ、きちんと体重管理をおこなうことが大切です。