
獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
犬が見せる仕草に、緊張や不安を伝える「カーミングシグナル」と呼ばれるサインがあります。
たとえば、あくびをしたり、視線をそらしたりといった行動がカーミングシグナルです。
今回はこれらのサインの意味について紹介します。
犬のカーミングシグナルとは?

カーミングシグナルとは、ストレスや不安を感じたときに、自分や相手を落ち着かせるために見せる行動です。
争いを避けるためにも有効で、現在わかっているだけでも30個ほどあると言われています。
カーミングシグナルは、犬同士の間だけでなく、人間に対しても示されることがあります。
知っておきたい「カーミングシグナル」5つ

犬との円滑なコミュニケーションに重要な役割も果たすカーミングシグナル。
ここではたくさんある中から、とくに知っておきたい5つを紹介します。
1. あくびをする
人間が眠いときにするあくびですが、犬の場合は必ずしも眠さだけを意味しません。
犬が緊張したり、不安を感じたりしているときにもあくびをすることがあります。
たとえば、あなたに叱られているときに愛犬があくびをしていたら「もうわかったから叱らないで!」「飼い主さんに落ち着いてほしい」という気持ちのあらわれです。
2. 視線をそらす
犬が相手の目をジーッと見つめるのは敵意があるという意思表示になります。
そのため、敵意のない相手に対して「あなたを攻撃しませんよ」という意味で視線をそらします。
そのほか、ストレスから逃れようとしているときにも見られます。
たとえば、飼い主さんに叱られているときに愛犬が目をそらすのもストレスを避けようとしての行動と考えられます。
3. 口の周りを舐める
犬が特に何も食べていないのに口の周りをペロリと舐める仕草は、緊張や不安を感じているときにみられるカーミングシグナルです。
自分自身を落ち着かせるための行動とされています。
動物病院の待合室や初対面の人に会う場面で見られることがあります。
4. 自分の足を噛む
犬が突然自分の足や体の一部を噛み始めることがあります。
この行動は、ストレスや緊張を感じたときに見られるカーミングシグナルです。
犬が気持ちを落ち着かせようとしている可能性が高いので、状況を観察し、ストレスの原因を取り除いてあげることが重要です。
一方、アレルギー性のかゆみからも自分の足を噛むことがあります。ストレスや緊張とは無縁の場所で執拗に噛んでいたら注意しましょう。
5. 座る・伏せる
犬が突然座ったり伏せたりする行動もカーミングシグナルのひとつ。
自分や相手の気持ちを落ち着かせようとしているときに見られます。
相手に対して「敵意はない」というメッセージを伝えるために行われることがあります。
たとえば、ドッグランで遊んでいて興奮しすぎた気持ちを落ち着かせるときなどに見られる行動です。
【まとめ】

犬のカーミングシグナルは、犬がストレスを感じたり、緊張を和らげようとしているときに見せる重要なサインです。
これらの行動を理解することで犬の気持ちを汲み取り、適切な対応ができるようになります。
犬がカーミングシグナルを示しているときは、その原因を探り、犬が安心できる環境を整えてあげましょう。