獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
愛犬が太ってきたかもと思った時、まずは運動をしなきゃと思っていませんか?
確かに、肥満対策として運動や散歩を増やすことは大切です。
しかし、急激な運動量の増加は心臓や関節の負担となってしまいます。
早く痩せさせたい!と思うかもしれませんが、まずは太る原因をしっかり理解してから、食事と運動のどちらも根気よく続けてあげることが大切です。
そこで、今回は犬が太る原因と具体的にどんなことを行えばいいのかお話したいと思います。
犬が肥満になる原因
犬が肥満になる原因としてはおもに以下の3つが考えられます。
▶ 運動不足
▶ 食べすぎ
▶ 病気
それぞれがどのように肥満に関与しているのか見ていきましょう。
■ 運動不足
運動不足になるとエネルギーの消費量が減少し、脂肪が蓄積しやすくなるため、肥満の原因になります。
犬は肥満の状態になると、動くのが億劫になり、運動を嫌がるようになります。その結果、ますます運動量が減る、太るという悪循環に陥ってしまうのです。
■ 食べすぎ
人間と同じく、犬も食べすぎれば当然太ります。過剰に摂取したエネルギーは脂肪として蓄積されますので、肥満の原因になります。
犬は与えれば与えただけ食べてしまうことも多いので、食事量は飼い主さんがしっかりと管理してください。
また、おやつも肥満の原因になりがちです。しつけのご褒美としてあたえている飼い主さんもいると思いますが、与えすぎには注意しましょう。
■ 病気
犬の肥満の原因には病気もあります。
たとえば、甲状腺の機能が落ちる「甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)」や副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」などの内分泌疾患です。
甲状腺機能低下症では基礎代謝の低下、副腎皮質機能亢進症では食事摂取量の増加によって太りやすくなります。
病気が原因の場合は、病気の治療を行います。
犬の減量と肥満対策
犬を減量させ肥満を予防するには、適度な運動と適切な食事管理が重要になります。注意するべき点を紹介しますので参考にしてください。
■ 適度な運動
減量と肥満予防には、運動量を増やすことが大切です。
しかし、急激に運動量や運動負荷を増やすと、心臓や関節に負担になってしまいます。 少しずつ様子を見ながら、運動量を増やしていってください。
▶ 散歩の時間を少しずつ増やす。
▶ 体をつかった遊びの時間を増やす。
▶ 散歩コースに坂道や階段を入れる。
▶ 知らない道を歩く
このようなことから始めると良いでしょう。
散歩の時間は、小型犬は20~30分を1日2回、中型犬は、30~40分を1日2回、 大型犬は60分以上を1日2回が目安となりますので、愛犬のいつもの散歩時間と比べてみてください。
また、運動することに慣れてきたら、ドッグランを活用するのもおすすめです。
老犬の場合は、関節の負担にならないよう坂道や段差のあるコースを避けて、犬のペースでゆっくりと歩くようにしましょう。
■ 適切な食事管理
減量と肥満予防でいちばん重要なのが食事管理です。どんなに運動をしても食べすぎたら意味がありません。
食事は「大体これくらいかな?」ではなく、しっかりと量るようにしましょう。
まずは、愛犬が1日に必要な摂取カロリーと食事量を把握することです。適切な量がわからない場合は、獣医師に相談しましょう。
おやつを与える場合は、低カロリーなものを選び、1日の摂取カロリーを超えないように食事を減らして調整してください。与える量は1日の摂取カロリーの10%以内とします。
【まとめ】
犬の減量と肥満の予防は、あせらず根気よく運動と食事管理のどちらも行うことが大切です。
まずは運動!と思うかもしれませんが、 いきなり運動量を増やしても愛犬の負担になるだけなので、いつもの散歩や遊びから少しずつ負荷を増やしてあげてください。
また、運動だけでなく、食べる量のコントロールも同時に行わないと意味がありません。
「このぐらいかな?」ではなく、しっかりと量ってから与えてください。
愛犬が肥満になるかどうかは、あなた次第です。
愛犬の健康を守るためにも運動と食事のバランスを見ながら無理なく続けていきましょう。