獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
暑くなってくると、犬もふだんより水を多く飲みますが、いつもよりやたら水を飲み、 おしっこの量も増えたということはありませんか?
もしこのような症状が見られたら、それは糖尿病かもしれません。
犬も糖尿病になるの?と思うかもしれませんが、最近は糖尿病の犬が増えていると言われています。
糖尿病は悪化するとさまざまな合併症を引き起こし、命にかかわることもある恐ろしい病気です。
今回は、そんな犬の糖尿病の症状と原因についてお話します。
犬の糖尿病ってどんな病気?
糖尿病は内分泌疾患の一つです。
すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの分泌低下や作用不足によって、ブドウ糖の量を調節できなくなり、 血液中のブドウ糖濃度が高い「高血糖」という状態になります。
その結果、血糖値が高い状態が続き、おしっこからも糖が検出されるようになります。 「糖尿病」と呼ばれている理由でもあります。
糖尿病には、インスリンの補給が必要な「インスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)」と インスリンの補給を必要としない「インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)」の2種類があります。
犬の場合、インスリンの補給を必要とするインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)がほとんどです。
病気が進行すると、白内障・腎臓病・肝臓病などの合併症を伴う場合があるため注意が必要です。
糖尿病の症状
犬の糖尿病の初期では、以下のような症状が見られます。
● 水を飲む量が増えた
● おしっこの回数や量が増えた
● 食べているのに体重が減ってきた
犬の糖尿病の症状はいろいろですが、 ほとんどの犬で飲水量と尿量が増える多飲多尿の症状が見られます。
糖尿病は初期では気づきにくい病気です。 もし、「最近よく水を飲むようになった」「おしっこの量が多いかな」と感じたら、 動物病院で相談することをおすすめします。
さらに症状が進み、悪化すると「糖尿病性ケトアシドーシス」という状態になります。
● 食欲がない
● 元気がない
● ぐったりしている
● 嘔吐・下痢
ケトアシドーシスは命にかかわることもあります。 糖尿病の犬でこのような症状が見られた場合は、早急に動物病院を受診してください。
糖尿病の原因
糖尿病は、インスリンが上手く分泌されなくなったり、分泌されてもうまく作用しなくなったりということが原因で起こる病気ですが、 ではなぜインスリンが上手く分泌されなくなったり、作用しなくなったりするのでしょうか。その原因はおもに4つあります。
1. 遺伝
2. 肥満
3. すい臓の炎症
4. ステロイドの服用
糖尿病には遺伝もかかわっており、糖尿病になりやすい犬種として、ミニチュアシュナウザー、ミニチュアプードルなどがあげられています。
また、肥満になってくると内臓脂肪も増え、それらの脂肪細胞から分泌されるホルモンには、インスリンの作用を阻害するものがあり、 インスリンが効きにくくなります。そのため、肥満は糖尿病の危険因子とされているのです。
そのほか、すい臓の炎症や薬の影響でインスリンの分泌が阻害されて糖尿病になることもあります。
【まとめ】
犬が糖尿病を発症すると、生涯に渡って管理・治療が必要となる病気です。 さまざまな合併症の原因にもなりますし、悪化すれば命にもかかわります。
近年、犬も生活習慣の変化から食事、肥満、運動不足が原因の糖尿病が増えていると言います。 愛犬の健康を守るためにも、日頃から適切な食事管理と適度な運動を心がけましょう。