獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
以前こちら↓の記事で「愛犬の目が白い時の、白内障の疑いとその症状」についてお話しました。
白内障とは、水晶体が白く濁り、徐々に視力が低下する病気です。
進行すると失明のリスクがありますので、症状や原因を知り、早期発見・早期治療に繋げることが重要だと言われています。
今回はさらに、治療法やいっしょに暮らすうえでの注意点など、より実践的なお話をしていきます。
犬の白内障の治療
犬の白内障の治療には、内科的治療と外科手術があります。
内科的な治療は、点眼薬で病気の進行を遅らせる目的でおこないます。
合併症の予防にも効果があると言われています。ただし、残念ながら白内障を治すことはできません。
また、進行を遅らせるのに役立つ抗酸化成分(ビタミンE、アントシアニン、アスタキサンチン、ルテインなど)が含まれたサプリメントを利用する場合もあります。
一方で、積極的な治療法として外科手術があります。
手術をする場合は、眼科専門の獣医師に手術が適用になるか判断してもらい、視力が回復する見込みがあれば手術を検討します。
手術では、白く濁った水晶体を取りのぞき、水晶体の代わりになる人工レンズを挿入します。
ただし、一般の動物病院では手術を行なっているところは少なく、眼科専門の獣医師に手術を依頼することになります。
そのため、手術をおこなえる病院が限られているのが現状です。
白内障の犬と暮らすうえでの注意点
白内障になって視力が衰えると、物にぶつかったり、つまずいたりするようになります。
愛犬が安全かつ快適に暮らすためには、以下の点に注意して対策をおこないましょう。
▶ 部屋の模様替えをしたり、ものを動かしたりしない
▶ 段差や溝をなくし、歩きやすいようにする
▶ 触る前には必ず声をかける
▶ 危険な場所に入れないように柵を設置する
▶ 大きな音を出さないように注意する
注意点といっても、ポイントさえ押さえれば神経質になる必要はありません。基本的には、いままでどおりで大丈夫です。
散歩も本人が行きたがるなら連れて行ってあげましょう。ただし、危険な場所は抱っこで移動する、コースを変更するなどの対策は必要です。
犬の白内障は早期発見が重要
犬の白内障には確実な予防法がありません。そのため、定期的に眼科検診を受けて早期発見に努めるようにしましょう。
先天性白内障や老化など防ぎようがない場合もあります。
ですが、糖尿病やケガが原因の白内障は、日頃から注意することでリスクを減らせるでしょう。
【まとめ】
白内障は早期に発見し、治療を開始すれば進行を遅らせることが可能です。
なるべく早い段階で見つけられるように、普段から愛犬とアイコンタクトをとったり、定期的に眼科検診を受けたりしましょう。
また、物にぶつかる、つまずくなどの初期症状に気が付いたら、早めに獣医師に相談してください。