獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
愛犬をなでようとしたら「バチッ」という痛みを感じたという経験はありませんか?
お互いに痛いし、とっても不快ですよね。
しかも、犬は静電気をため込みやすいと言われています。
今回は、なぜ犬に静電気が発生するのか、犬にどんな影響を与えるのかについてお話します。
なぜ犬は静電気をため込みやすいの?
犬は静電気をため込みやすいと言われています。
まずは、その理由についてお話ししていきたいと思います。
■ 静電気とは?なぜ「バチッ」となる?
静電気とは、物体が帯電している(電気がたまっている)状態のこと。
また、それによって引き起こされる現象です。
通常静電気は、汗や空気中の湿気をとおし放出(放電)されますが、うまく放電できなかったものは物体の中にとどまります。
そのため、空気が乾燥している冬は、静電気をため込みやすいということになるのです。
そのような状態で、ほかの人に触れると、お互いの間で電気が移動して「バチッ」という鋭い痛みを感じます。
■ 犬が静電気をため込みやすい理由
ではなぜ、犬は静電気をため込みやすいと言われているのでしょうか?
犬は全身が毛で覆われています。
静電気は被毛の1本1本に帯電しています。
しかも、被毛は乾燥しています。
つまり、静電気をため込みやすく放電しにくい体質とも言えるのです。
とくに、長毛種や毛の量が多い犬種は、短毛種に比べて、静電気をため込みやすいと言われています。
静電気が犬に与える影響
静電気が犬に与える影響は驚きと痛みだけではありません。
病気の悪化や衛生面の問題、飼い主さんとの関係にも影響をあたえてしまうかも?
それでは、詳しく見ていきましょう。
■ 皮膚トラブル・アレルギー・呼吸器疾患の悪化
静電気が発生すると、皮膚トラブルやアレルギーの原因となるダニやほこりなどのハウスダストを引き寄せやすくなります。
さらに、空気が乾燥する冬には、犬の皮膚はバリア機能が低下して、皮膚トラブルを引き起こしやすい状態です。
もともとアトピーなどの皮膚トラブルを抱えている犬はさらに症状を悪化させてしまうリスクがあります。
また、呼吸器疾患を抱えている犬は、ハウスダストを吸い込むことで、呼吸器を刺激して症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
■ 毛玉ができやすくなる
上述のように、静電気はハウスダストなどの汚れを引き寄せやすくしてしまいます。
被毛に汚れが付着すると長毛種や毛の量が多い犬種は、毛玉ができやすくなり、皮膚病の原因になってしまうこともあります。
また、毛玉がひどくなると、ブラッシングの際に毛が引っ張られるなどして、嫌がるようになる犬もいます。
被毛についた汚れはこまめに取り除いて、毛玉にならないよう注意しましょう。
■ 飼い主さんに叩かれたと勘違いする
静電気の「バチッ」に驚くのは犬も同じです。
飼い主さんになでられた際に静電気が発生すると、犬は「えっ?いま叩かれた?」と勘違いしてしまう可能性があります。
そんなことが何度も起きたら、飼い主さんに対して不信感を抱くようになってしまうかもしれません。
なるべく静電気が発生しないように注意しましょう。
【まとめ】
静電気が犬の病気を悪化させたり、毛玉の原因になったりすることに驚かれたかもしれません。
たかが静電気と思いがちですが、健康にも影響を及ぼしかねないのですから、あなどらずにしっかりと対策をしましょう。