獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
あなたの愛犬の口はどんなニオイがしますか?
すっぱいニオイから腐敗臭のようなニオイまでさまざまかと思いますが、 もともと、健康な犬の口は臭くありません。
しかし、ついついやってしまいがちなある習慣が影響して愛犬の口が臭くなってしまうことがあります。
また、命にかかわる病気が口臭の原因になっている場合もあります。
そこで今回は、犬の口臭が発生する生活習慣と口臭の原因についてお話したいと思います。
犬の口臭が発生する生活習慣
日頃の生活習慣が犬の口臭に影響を及ぼす場合があります。
愛犬の健康のためにも、悪い習慣を良い習慣に変えていきましょう。
■ 歯みがきの習慣がない
犬の口臭の多くは、口腔内の衛生状況が悪化したことが原因です。
犬も人間と同じで歯磨きをしないと、歯垢と歯石が溜まりやすくなります。このような状態では細菌が繁殖し、口臭を発します。
歯垢を放置すると歯周病の原因にもなり、さらに強い口臭を発するようになるため注意が必要です。 歯石が形成されるとさらに歯垢が沈着し、炎症が広がっていってしまいます。
犬の歯に付着した歯垢は3日ほどで歯石になると言われています。
最低でも2日に1回は歯磨きをするようにしましょう。
(歯垢は歯磨きで落とすことができますが、歯石は落とすことができません)
■ 劣化したフードを与えている
ドライフードは開封した瞬間から脂質の酸化によって劣化がはじまります。
劣化したフードの食べカスは新鮮なフードとは違った臭いを発する場合があり、これが口臭の原因になると言われています。
また、酸化したフードは健康を害するリスクもあります。
日持ちするように見えるドライフードも、できるだけ新鮮なうちに与えられるよう小袋で購入することをおすすめします。
犬の体臭や口臭は、食べたものの臭いの影響も受けやすいです。 例えば、フード以外に魚を与えていると口臭も魚臭くなることがあります。
もしフード以外に与えている食事やサプリメントなどある場合にはその臭いについても確かめてみると良いかもしれません。
犬の口臭の原因
犬の口臭の原因は、上述の習慣によるもののほかに、口腔内や内臓の病気が原因として考えられます。
どのような臭いがするのか具体的に紹介します。いざというときのために覚えておきましょう。
■ 歯周病や口腔内腫瘍
犬の口臭で最も多いのが歯周病です。
炎症を起こしている部分に溜まった膿が口臭の原因になります。
3歳以上の犬の8割が歯周病を患っていると言われており、決して珍しい病気ではありません。
歯周病のおもな症状は腐敗臭のような口臭で、生ゴミや魚が腐ったような臭いなどと言われます。
また、口腔内腫瘍も原因になります。悪性の腫瘍の場合、口内の粘膜や歯肉、骨組織などが激しく破壊され歯周病のような腐敗臭が発生します。
口腔内腫瘍では、口臭のほかに口の痛みや違和感、それに伴う食欲低下が見られるのが一般的です。
■ 内臓疾患
内臓疾患が原因で口臭が気になる場合があります。内臓に異常がある場合は以下のような口臭がします。
● すっぱい臭い
● アンモニア臭
● うんちのような臭い
酸っぱい臭いは、胃腸の調子が悪いときに見られる症状です。胃酸が過剰に分泌されることで酸っぱい臭いとして感じられるのです。
アンモニア臭がするのは、腎臓や肝臓が正常に機能していないからかも。
通常は体外に排出されるはずの老廃物が排出されず、毒物として体内に溜まっている状態です。
また、重度の便秘、腸閉塞や胃捻転などが原因でうんちのような臭いがすることもあります。
口臭のほかにも嘔吐や下痢、激しい腹痛、食欲不振などが見られます。
【まとめ】
犬の口臭の原因は大きく分けると以下の3つです。
● 口腔内が不衛生
● 劣化したフード、フード以外に与えている食事
● 口腔内または内臓の疾患
愛犬の健康を守るためにも、歯みがきを習慣にし、新鮮なフードを与えるようにしてください。
また、日頃から口の中をチェックし、独特な口臭を感じたら早めに獣医師に相談しましょう。