獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
やっと暑さも和らぎ、少しずつ秋の訪れを感じているころかと思います。過ごしやすい季節の一方で、1日の寒暖差が大きく体調を崩しやすい時期でもあります。
実は、この時期は人間と同じく犬も体調を崩しがちになります。そこで、今回は夏から秋にかけての季節の変わり目に注意したい犬の病気トップ3をご紹介します。
1. 胃腸炎
夏から秋の季節の変わり目で注意したいのが消化器官のトラブル。
暑さで胃腸が弱っているところに、昼と夜の気温差が大きくなってさらに負担をかけるため、胃腸炎を起こしやすいと言われています。そのため、季節の変わり目に、頻繁に吐く、下痢がつづくというときは胃腸炎を疑います。
軽症ならば自然治癒もありえますが、嘔吐・下痢は辛いものです。できるだけ早く、動物病院を受診することをお勧めします。また、夏の間に落ちていた食欲が急に戻ってきたときも注意が必要です。
胃腸が暑さで弱っているところに、食べムラで排便のリズムが変わり、消化器トラブルを引き起こすことがあります。
2. 関節疾患
秋になり気温が下がってくると関節トラブルが増えます。
夏の間は、暑さで散歩の時間を減らしていたり、涼しくなって食欲が増したりすると、筋肉の衰えや体重の増加で足腰への負担が大きくなります。関節にトラブルのある犬はとくに注意してください。
また、寒くなると血行が悪くなることで筋肉がこわばって関節に負担がかかるため、関節トラブルを起こしやすくなります。とくに朝は注意が必要です。散歩の前に軽い運動をして体を温めてから出かけるようにするとよいでしょう。
3. 泌尿器系疾患
寒くなってくると水を飲む量が減り、排泄量が減ることで、膀胱炎や結石症などの泌尿器トラブルを起こしやすくなると言われています。
膀胱炎は、膀胱に細菌が入り粘膜の炎症を起こす病気です。頻尿、血尿、排尿痛などが見られます。
結石にはできた場所によって「膀胱結石」や「尿道結石」などがあります。おもな症状は、頻尿、血尿、排尿困難などです。結石が尿道に詰まりおしっこが出なくなると命にかかわることもあります。
水を飲む量が減ったなと思ったら、ウェットフードを取り入れるなど水分補給に努めましょう。
まとめ
秋は過ごしやすい季節でもありますが、1日の気温差が大きく、犬も体調を崩しがちになります。
しかし、夏の間に控えめだった散歩の時間を増やしたり、食欲が戻ったりといったうれしいこともあります。ただし、急に戻すと負担になってしまう可能性がありますので、少しずつ戻すようにしてください。
栄養をしっかりと摂取し、適度な運動、水分補給で季節の変わり目を元気に乗りきってください。