獣医師
島田 真美
ペット栄養管理士 / NRサプリメントアドバイザー / 帝京科学大学非常勤講師
こんにちは島田です。
人間の病気として有名な脳梗塞ですが、実は犬も脳梗塞を起こすことが知られています。
人間と比べると頻度は少ないとされていますが、意識や運動能力などに問題が生じたり、場合によっては後遺症が残ることもあります。
犬の脳梗塞とは、どのような病気なのでしょうか。詳しく解説します。
犬の脳梗塞ってどんな病気?
脳梗塞とは、脳の血管がなんらかの原因で詰まり、血流が途絶えることで脳組織が機能しなくなる病気です。
中高齢の犬に多く見られる一方、犬種による差異はないとされています。
かつては、犬の脳梗塞はまれだとされていましたが、CTやMRIなどの発達により、診断されるケースが増えました。
犬の脳梗塞では、血管の詰まった場所によって、意識障害、運動失調、けいれん発作などさまざまな症状があらわれます。
脳梗塞は、症状の進行度合いによって予後が大きく異なりますので、早期発見、早期治療が重要な病気のひとつとされています。
犬の脳梗塞の症状
犬の脳梗塞は、血管が詰まってから数時間から数日のうちに症状があらわれます。
詰まった場所によって症状はさまざまですが、以下にあげるような症状が見られるのが一般的です。
- ふらつく
- 立てなくなる
- 首が斜めに傾く(斜傾)
- 目が揺れる(眼振)
- けいれん発作
- 意識障害
犬の場合、これらの症状が24〜72時間ほどかけて悪化したのち、進行が止まるか徐々に回復する場合が多いと言われています。
しかし、後遺症が残る可能性もあるため決して油断はできません。
犬の脳梗塞の原因
犬の脳梗塞が、脳の血管が詰まることによって引き起こされることはわかっていますが、その明確な原因はわかっていません。
現状では、以下の病気などが原因ではないかと考えられています。
- 内分泌疾患
- 脱水症状
- 心臓病
- 高脂血症
- 血栓症
- 動脈硬化
なお、犬の脳梗塞では、脱水症状や内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)、心臓病を併発していることが多いとの報告があります。
【まとめ】
犬の脳梗塞は、人間のように命にかかわるようなことは少なく、多くは症状が改善します。
とは言え、人間と同様に後遺症が残る可能性も否定できません。
後遺症が残るかどうかは、病気の進行度合いにもよりますので、突然歩けなくなった、ふらついている、頭が傾いているなどの症状が見られたら、早急に動物病院を受診しましょう。